フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「四本のピンで引っ張られて⇒ めかしこんで」(4)

  Pendant plus d’un quart d’heure, M. Jolivet, tiré à quatre épingles, pantalon rayé, veston noir bordé, chapeau roide comme du ciment armé, resta assis, très digne, sur le bord de sa chaise, dans la morne salle d’attente de la P.J.

(©Georges Simenon : Les caves du Majestic; Chap.8) 

 

 15分以上、ジョリヴェ氏はきちんとした身なりで、折り目のついたズボンで、仕立てのいい黒い背広で、鉄筋コンクリートのようにこわばった帽子を持って、背筋を伸ばして、警視庁の陰気な待合室で、椅子の端に浅く腰かけていた。

(#42『ホテル・マジェスティックの地下室』第8章)

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*メグレのもとに大手銀行の副支店長が面会を求めてきた。

 

Pendant plus d’un quart d’heure(パンダンプリュ・ダンキャードゥー)15分以上

 

*tiré à quatre épingles < tirer(チレ・アキャトル・エパングル)きちんとした身なりで

être tiré à quatre épingles 直訳では「四本のピンに引っ張られて」だが慣用表現で「おめかしして」「きちんとした身なりで」になる。

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*Crédit d’image : Twittterフランス大使館 【今日のフランス語】 être tiré à quatre épingles (2020.09.09)

https://twitter.com/ambafrancejp_jp/status/1303648952655306752?lang=bg

 

**参考再出

(1)フランス語の慣用表現「四本のピンで引っ張られて⇒ おめかしして」(2018.10.11)『メグレと宝石泥棒』第3章

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18681247

(2)フランス語の慣用表現「四本のピンで引っ張られて⇒ おめかしして」(2)(2019.05.20)『メグレと殺人者たち』第2章

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18884247

(3)フランス語の慣用表現「四本のピンで引っ張られて⇒ おめかしして」(3)(2020.09.29)『メグレと死者の影』第2章

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/2020/09/29/142752

 

pantalon rayé(パンタロン・ラィエ)折り目のついたズボン

 

veston noir bordé(ヴェストンノワー・ボルデ)縁取りのされた黒い上着

 

chapeau roide comme du ciment armé(シャポー・ロワド・コムデュ・シマンタルメ)roide < raide 鉄筋コンクリートのようにこわばった帽子

 

resta assis < rester(レスタアッシ)座っていた(単純過去形)

 

très digne(トレディーニュ)それに似つかわしく⇒ 背筋を伸ばして

 

sur le bord de sa chaise(シュールボー・ドゥサシェーズ)椅子の端に浅く

 

dans la morne salle d’attente(ダンラモルヌ・サルダタント)陰気な待合室で

 

de la P.J.(ドゥラページェ)警視庁の(P.J. = Police Judiciaire)