フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「四本のピンで引っ張られて⇒ おめかしして」

ー M. Maupois sort vers onze heures pour aller boire son apéritif, toujours tiré
à quatre épingles.  L’après-midi, après sa sieste, il accompagne sa femme
en promenade ou dans les magasins.  S’ils n’étaient pas aussi pingres
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.3)

「モーポワ氏は11時頃、食前の一杯を飲みに出かけます。いつもきちんとした身なりでいます。午後はお昼寝のあとで奥さんと一緒に散歩か買い物に行きます。もしこの人たちがこれほどしみったれでなかったら・・・」
(#91『メグレと宝石泥棒』第3章; 原題は「メグレの忍耐」)
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pour aller boire(プーアレ・ボヮール) 飲みに行く

*tiré à quatre épingles(チレア・キャトル・エパングル)おめかしして
イメージ 1

洗濯物のしわをきちんと伸ばすためにピンで四隅を引っ張るようにしたことが由来らしい。原形は être tiré
à quatre épingles なので受動態。
(引っ張られて)
Crédit : Flickr - Photo Sharing

après sa sieste(アプレ・サ・シエスト)n.f. お昼寝のあとに

il accompagne < accompagner(イラコンパニュ)彼は一緒に行く、伴う

*pingres(パングル)adj. けちな、しみったれな
(この単語は、épingles と脚韻が同じなので使ったと思われる/詩でなくとも使うということは日本語のダジャレに近いかもしれない。)このセリフを話しているのは女管理人で、後半が「・・・」になっているが、年末恒例の管理人に渡す謝礼をもっとはずんでほしい、と言いたかったのだろう。