フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「何だかわからないもの」

  Il ne l’avait pas imaginé aussi jeune.  Duclos pouvait avoir trente-cinq à trente-huit ans. Mais il y avait un je ne sais quoi en lui qui frappa Maigret.

(©Georges Simenon : Un crime en Hollande; Chap.2) 

 

 デュクロがこれほど若いとは思っていなかった。35~38歳らしかった。だが、彼の態度には何だかわからない何かがあって、メグレの心に感じるものがあった。

(#08『オランダの犯罪』第2章)

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*メグレはホテルで待機させられていた容疑者のデュクロに会う。この何だかわからないものの感触が事件の伏線なのかも知れない。

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Crédit photo : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Maigret en Finlande” 1996

© Dune/France2  @macri rossi

 

Il ne l’avait pas imaginé aussi jeune < avoir, imaginer(イルヌラヴェパ・ジマジネ・オッシジューヌ)彼がこれほど若いとは思っていなかった(半過去形)

 

pouvait avoir trente-cinq à trente-huit ans < pouvoir(プヴェタヴォワール・トラントサンク・アトラントユィタン)35から38歳

 

Mais il y avait un < avoir(メジリヤヴェ・アン)しかしそこに一つあった(半過去形)

 

*je ne sais quoi en lui < savoir(ジュヌセコワ・アンリュイ)彼の態度には何だかわからないものが

**je ne sais quoi(慣用句)何だかわからないもの(主体が三人称の場合でもこのまま文中に入れて使う)

類似した表現に Dieu sait pourquoi がある。これもそのままで挿入する。

 

qui frappa < frapper(キフラッパ)印象づけた、心に残った(単純過去形)



*参考再出:Dieu sait pourquoi

フランス語の慣用表現「神様がどうしてかを知っている⇒ どういう訳か?」(2020.01.02)

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/2020/01/02/091108

 

フランス語の慣用表現「神様がどうしてなのかを知っている⇒ なんだかよくわからないうちに」(2018.12.11)

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18743408