フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「二言いう⇒ ちょっと話す」(2)

ー Je vous appelle de chez une dame que je préfère ne pas quitter de l’œil.  Je crois que vous ferez bien de venir lui dire deux mots.  Elle n’est pas commode.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.4) 

 

「ある女性の家から電話しています。目を離さないほうが良さそうです。警視に来ていただいてちょっと話したらどうかと思います。彼女は素直じゃないんで。」

(#66『メグレと生死不明の男』第4章)

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*メモ帳に書いた痕から推察した電話番号から、ビル・ラーナーの愛人と思われる女性の家を突き止めた。凱旋門の西側のグランダルメ大通りの北側にあるブリュネル街で、アカシア街のポッツォの店からもすぐ近かった。

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Crédit photo : Vue de la rue Brunel, Paris 17e  @Google street-view

奥に見えるのはサン=フェルディナン広場 Place St Ferdinand、 

左手前にモロッコ料理の老舗「ティムガド」Timgad が見える。

 

Je vous appelle de chez une dame < appeler(ジュヴザペル・ドゥシェジュヌダム)私はある女性の家からあなたに電話しています(現在形)

 

que je préfère ne pas quitter de l’œil < préférer(クジュプレフェール・ヌパキテ・ドゥルィユ) 私は目を離さないほうがいいと

 

Je crois que < croire(ジュクロヮク)私は~と思う(現在形)

 

vous ferez bien de venir < faire(ヴフレビァン・ドゥヴニール)あなたに来ていただいたらいいでしょう(単純未来形=軽い勧奨)

 

*lui dire deux mots(リュイディール・ドゥモ)彼女とちょっと話す( deux には「二つ」の他に「ちょっと」「少し」の意味がある)

**日本語では「二」はあまりいい意味では使われていない。「武士に二言はない。」「二言目には・・・」等々。フランス語ではいきなり deux が un / une よりも先に出てくるので面食らう。ここの場合は「ちょっと一言、二言、言ってくれませんか?」と訳すと説教じみてしまうが、少しは感覚が近くなる。

 

Elle n’est pas commode < être(エルネパコモド)彼女は素直じゃない



**参考再出:フランス語の慣用表現「二言いう⇒ ちょっと話す」(2019.10.04)

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/2019/10/04/094039