フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「火しか見ない⇒ 何も気づかない」

ー Vous étiez persuadé que l’enquête serait faite par la police locale, qui n’y verrait que du feu.

(©Georges Simenon : Maigret et la vieille dame; Chap.9) 

 

「あなたは捜査が地元の警察によって何も気づかれずに行われるだろうと確信していた。」

(#59『メグレと老婦人』第9章)

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Vous étiez persuadé que < être, persuader(ヴゼティエ・ペルシュアデ・ク)あなたは~だと確信していた(半過去形)

 

l’enquête serait faite < être, faire(ランケト・スレフェト)捜査が行われる(条件法・現在形、受動態)

 

par la police locale(パーラポリス・ロカル)地元の警察によって

 

*qui n’y verrait que du feu < voir(キニヴェレ・クデュフー)直訳で「そこに火しか見ないだろう」⇒「何も気づかない」(条件法・現在形)

n’y voir que du feu 何も気づかない(定型の慣用表現)

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Crédit photo : 9 expressions avec le mot « feu »  @af Frenchbook

https://afblearnfrench.tumblr.com/post/189968589982/des-expressions-idiomatiques-avec-le-mot-feu

*言葉の上からすると少なくとも「火」は見ているだろうに、と思うのは直訳のワナ? 火の見櫓で見張り番が火事以外のことは無視することから来ているかも知れない。

**日本語では「火を見るよりも明らか」と言うが、フランス語では「火を見るのが何にもならない」というニュアンスなのが面白い。木造建築が多い日本では火事は一大事だった訳だが・・・

 

※参考再出:フランス語の慣用表現「火しか見ない⇒ 何にも気がつかない」(2019.02.27) 『メグレと消えた死体』第8章

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18821928