フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)思い込みで捜査をしない

ー Vous croyez que c’est un de ces hommes ? ….

Je ne crois rien, messieurs…  Mon métier n’est pas de croire, mais de découvrir des preuves ou d’obtenir des aveux...

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.4) 

 

「この男たちの一人がそうだと思ってるんですか?」

「皆さん、私は何とも思っていませんよ私の仕事は思い込むことじゃなくて、証拠を見つけ出すか、自供を得ることなんです。」

(#97『メグレと録音マニア』第4章)

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*新聞記者から捜査状況について取材されても、いつもの通りメグレは捜査の目星について語らない。確たる証拠あるいは自供がない限りは何も断定できないというのだ。メグレは報道機関に対する姿勢をよく心得ている。仮に手がかりの一つでも公言してしまうことで、捜査がその方向に向かっていると報じられてしまうからだ。それが百分の一でしかないと言うことで、記事の的を絞らせないことが肝要だ。

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*Vous croyez que < croire(ヴクロワィエ・ク)あなたは~だと思う( croire は日常会話では「~だと思う」のニュアンスが多い。)

 

c’est un de ces hommes < être(セ・タンドゥセゾム)それが(容疑者が)この男たちの一人である

 

Je ne crois rien, messieurs < croire(ジュヌクロワ・リァン・メッシュ)皆さん、私は何とも思っていません。croire v.t. 信じる、思う、想像する

 

Mon métier n’est pas de croire < être(モンメチエ・ネパドゥクロワール)私の仕事は思うことではない

 

*mais de découvrir des preuves(メドゥ・デクヴリール・デプルーヴ)証拠を見つけ出すこと( mais は前述の否定形ではなく、「肯定できるものは」という意味でつなぐ接続詞になる) 

 

ou d’obtenir des aveux(ウドプトニール・デザヴー)あるいは自供を得ること