フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「近くも遠くもない⇒ まったく関係ない」

ー Il était étudiant… Il suivait les cours de Lettres à la Sorbonne… Il n’y faisait partie d’aucun groupe… Il ne s’intéressait ni de près, ni de loin, à la politique...

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.1er) 

 

「彼は学生でした。ソルボンヌで文学の勉強をしていました。どこのグループにも加わらず、政治にもまったく関心がありませんでした。」

(#97『メグレと録音マニア』第1章)

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*父親が息子のことを語る場面だが、亡くなったという知らせを受けた直後から時制が「過去の人物」に対する過去形になってしまう。

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Crédit photo : Sorbonne - Université : La faculté des Lettres

https://lettres.sorbonne-universite.fr/

 

Il était étudiant < être(イレテ・テチュディアン)彼は学生だった(半過去形)

 

Il suivait les cours de Lettres à la Sorbonne < suivre(イルシュイヴェ・レクードゥレトル・アラソルボンヌ)ソルボンヌで文学の勉強をしていた(半過去形)直訳で「文学の講義を受けていた」

 

*Il n’y faisait partie d’aucun groupe < faire(イルニフゼパルティ・ドーキャングループ)彼はそこのどのグループにも加わらなかった(半過去形)

faire partie de ~に加わる、参加する

 

*Il ne s’intéressait ni de près, ni de loin < s’intéresser(イルヌ・サンテレッセ・ニドゥプレ・ニドゥロヮン)彼は~にまったく興味を持たなかった(半過去形)

**ni de près, ni de loin(ニドゥプレ・ニドゥロヮン)まったく~でない(成句)(直訳風に読んでみると「近からず遠からず」「中途半端に」とか「適当に」「付かず離れず」などかなと思ってしまうが、全然違っている。日本人風の曖昧さはフランス人には理解できない感覚なのかも知れない。)

 

à la politique(アラポリティク)政治に対して