フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)青ざめた顔でコニャック2杯

  Son front était couvert de sueur et il se regarda anxieusement dans le miroir, entre les bouteilles alignées sur l’étagère.

Un cognac

  Il n’était plus rouge, mais pâle, le regard fixe.

ー Un petit ou un grand ?

ー Un grand !  lança-t-il avec ironie.

(Georges Simenon : Maigret se défend; Chap.2) 

 

 彼の顔は汗で覆われていた。彼は不安げに棚に並んだボトルの間から鏡の中の自分の顔を見つめた。

「コニャックをくれ」

 彼の顔は血色がなく、むしろ青白かった。一点をじっと見ていた。

「シングルですか、ダブルですか?」

「ダブルだ!」と彼は当てつけるように言い放った。

(#90『メグレたてつく』第2章)

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*警視総監のもとに届いたのは国務審議官の姪からの痴漢被害申立だった。メグレは昨夜電話で呼び出された娘に完全にハメられたことを知った。この件の審理が終わるまで執務停止を申し渡され、悪ければ免職の可能性もあった。

 

Crédit d’image : L’écran sur Youtube 

Téléfilm #8 “Maigret se défend" avec Bruno Crémer

1993.05 © Dune / France2 

 

Son front était couvert de sueur < être, couvrir(ソンフロン・エテクヴェー・ドゥシュウー)彼の顔は汗で覆われていた(半過去形)

 

et il se regarda anxieusement < se regarder(エ・イルスルギャルダ・アンクシューズマン)そして彼は不安げに自分の顔を見つめた(単純過去形)

 

dans le miroir(ダンルミロワー)鏡の中の

 

entre les bouteilles alignées sur l’étagère(アントル・レブティユ・ザリニェ・シューレタジェール)棚に並んだボトルの間から

 

Un cognac(アンコニャク)コニャックをくれ

 

Il n’était plus rouge, mais pâle < être(イルネテプリュ・ルージュ・メパル)彼の顔色はもはや赤くなく、むしろ青白かった(半過去形)

 

le regard fixe(ルルギャーフィクス)一点をじっと見る

 

Un petit ou un grand ?(アンプチ・ウアングラン)シングルですか、ダブルですか?

 

Un grand ! (アングラン)ダブルだ!

 

lança-t-il avec ironie < lancer(レンサティル・アヴェキロニ)彼は当てつけるように言い放った(単純過去形)