フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「生命の気配を与えない⇒ 消息不明、音信不通」

  Lognon avait disparu entre le moment où Maigret l’avait quitté au coin de la rue des Acacias et le moment où Torrence était arrivé au même endroit pour le remplacer.

Il n’avait pas téléphoné, n’avait plus donné signe de vie.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.2) 

 

 ロニョンがいなくなったのは、メグレが彼とアカシア街の一角で別れて、トーランスが交代するために同じ場所に到着する間のことだった。彼は電話をかけてこなかったし、消息もつかめなかった

(#66『メグレと生死不明の男』第2章)

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*ロニョンがまた失踪した。今度のほうが深刻だった。メグレが直前まで指示していたのにその場所から消えたからだ。

 

avait disparu < avoir, disparaître(アヴェ・ディスパリュ)いなくなっていた(大過去形) 

 

entre le moment où Maigret l’avait quitté < avoir, quitter(アントル・ルモマンウ・メグレ・ラヴェキテ) メグレが彼と別れたときと~の間に

 

au coin de la rue(オーコワン・ドゥラリュ)通りの一角で

 

et le moment où Torrence était arrivé < être, arriver(エ・ルモマンウ・トーランス・エテアリヴェ)それとトーランスが到着したときと

 

au même endroit pour le remplacer(オーメームアンドロヮ・プールランプラセ)彼と交代するために同じ場所に

 

Il n’avait pas téléphoné < avoir, téléphoner(イルナヴェパ・テレフォネ)彼は電話をかけてこなかった(大過去形)

 

*n’avait plus donné signe de vie < avoir, donner(ナヴェプリュ・ドネ・シーニュドヴィ)消息もつかめなかった(大過去形)

ne pas donner signe de vie(ヌパドネ・シーニュドヴィ)消息がない、音信不通。文字通りに本当に「死んでいるように見える」場合も使う。(慣用表現:どちらの名詞にも冠詞をつけていない)直訳で「生命の気配を与えない」

前日の「自分の皿の中」と同じように専ら否定形で使われる。

*日本でも久しぶりに会った友人に対して「生きていたの?」と聞くのに似ている。

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Crédit photo : Signe de Vie - J.R.Dos Santos

Editions Pocket @Les Petits Mots

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