フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「涙の危機⇒ 泣きそうになる」

ー Je sais que vous étiez un très grand ami de Mlle Papet et que vous avez dû
recevoir un choc, ce matin, en écoutant la radio ou en lisant le journal…
Il y eut une moue qui aurait pu tourner en crise de larmes, mais Coursel se
contint.
ー Je vous demande pardon… Je suis bouleversé… J’étais plus qu’un ami
pour elle…
ー Je suis au courant…
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.3)

「あなたがパぺ嬢のとても親しい友人だったことはわかっています。今朝ラジオを聞いたり新聞を読んだりしてショックを受けたに違いありません。」
クールセルは口を曲げて泣きそうになったが、涙はこらえた。
「ごめんなさい。動転していまして…彼女とは友だち以上の関係でした。」
「知っています。」
(#96『メグレの幼な友達』第3章)

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très grand ami(トレグランダミ)とても親しい友人

vous avez dû < devoir(ヴザヴェデュ)あなたは~したに違いない

*recevoir un choc(ルスヴォワール・アンショク)ショックを受ける
choc(ショク)n.m. ショック、衝撃
choquer(ショケ)v.t. ショックを与える、傷つける
よく言われる「ショックだった」は:J’ai été choqué par(de) ~

en écoutant(アンネクタン)聞きながら
en lisant(アンリザン)読みながら
journal(ジュルナル)n.m. 新聞

moue(ムゥ)n.f. 不平で口をとがらせること
qui aurait pu tourner(キオーレピュ・トゥルネ)変わり得たかのような

*crise de larmes(クリーズドラルム)直訳では「涙の危機」⇒ 泣きそうになる
crise n.m. 危機、急変、不足、興奮

se contint < contenir(スコンタン)自制する、こらえる(単純過去形)

Je vous demande pardon(ジュヴ・ドゥマンド・パルドン)ごめんなさい、申し訳ありません。(お詫びの言葉の丁寧な言い方)

bouleversé(ブルヴェルセ)adj. 動転した、混乱した、取り乱した
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*J’étais plus qu’un ami pour elle.(ジェテ・プリュ・カンナミ)私は彼女にとって友だち以上でした(半過去形)主語を反対に置き換えてみると:Elle était plus qu’une amie pour moi.(彼女は私にとって友だち以上でした。)
こちらも正しいかも知れないが、フランス人は自分がどうだったのかを優先して語る傾向にあるので、J’étais ~ になったのかも。

Je suis au courant < être au courant de(オクーラン)~を知っている、~に通じている(頻用語)