フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)かわいそうなメグレ

  Et elle répondait par un mot qu’elle n’employait pas souvent :

Mon pauvre Maigret !

  Car elle l’appelait Maigret dans certaines circonstances, quand elle reconnaissait qu’il était l’homme, le maître, la force et l’intelligence du ménage!

(©Georges Simenon : Le fou de Bergerac; Chap.6) 

 

 そして夫人はまれにしか使わない言葉で返事した。

メグレはかわいそう!

 というのも彼女はある特定の状況でしかメグレとは呼ばなかったからだ。彼が男であり、主人であり、力であり、夫婦の聡明さであることがわかった時である。

(#16『メグレを射った男』(ベルジュラックの狂人)第6章)

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*医者を始めとしてメグレを事件とは関係のない静かな場所で療養させるほうがいいという声が上っていた。しかしメグレは事件と関わっていたかった。夫人もとうとうメグレの気持を理解した。(初期のメグレ作品では上記のように書いているが、後期では「メグレさん」「メグレの奥さん」と互いに呼び合うのが普通になっている。)

 

Crédit d’image : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Maigret et le fou de Bergerac” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” © Antenne 2, 1979; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

Et elle répondait par un mot < répondre(エ・エルレポンデ・パーアンモ)そして彼女はある言葉で返事した(半過去形)

 

qu’elle n’employait pas souvent < employer(ケルナンプロワィエ・パスヴァン)彼女がまれにしか使わなかったという(半過去形)

 

Mon pauvre Maigret !(モン・ポーヴル・メグレ)私のかわいそうなメグレ

 

Car elle l’appelait Maigret < appeler(キャーエルラプレ・メグレ)というのは彼女が彼をメグレと呼んだ(半過去形)

 

dans certaines circonstances(ダンセルテヌ・シルコンスタンス)ある特定の状況下で

 

quand elle reconnaissait que < reconnaître(カンテル・ルコネッセ・ク)彼女が~を認めたとき(半過去形)

 

il était l’homme < être(イレテ・ロム)彼が男であった

 

le maître(ルメートル)主人

 

la force(ラフォルス)力

 

et l’intelligence du ménage(エ・ランテリジャンス・デュメナージュ)夫婦の聡明さ