フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)思わず過去形で話す

  Elle expliquait, car c’était un besoin chez elle d'expliquer :

ー Joseph occupait la chambre de gauche…. Mon Dieu !  Voilà que je viens de dire « occupait », comme si ...

(©Georges Simenon : La Pipe de Maigret; Chap.2) 

 

 彼女は説明した。自分の家を説明する必要があったからである。

「ジョゼフは左側の部屋を使ってました。あらまぁ!《ました》って言うなんて、まるで…」

(#47『メグレのパイプ』第2章)

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*メグレは部下のリュカを連れてルロワ夫人の家を調べに行く。彼女は失踪した息子のことをまるで故人に対するように思わず《過去形》(半過去形)で話してしまう。

 

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Crédit d’image : Vue d’un coin de la rue de la Mairie, Charenton-Le-Pont @Google street-view

 

Elle expliquait < expliquer(エルエクスプリケ)彼女は説明していた(半過去形)

 

car c’était un besoin chez elle d'expliquer < être(キャー・セテアンブズワン・シェゼル・デクスプリケ)なぜならそれが彼女の家を説明する必要があったから(半過去形)

 

occupait la chambre de gauche < occuper(オキュペ・ラシャンブル・ドゥゴーシュ)左側の部屋を使っていた(半過去形)

 

Mon Dieu ! (モンデュー) あらまぁ!(直訳では「私の神様」)

 

Voilà que(ヴォワラク)~だとは(強調句)

 

*je viens de dire « occupait » < venir(ジュヴィアンドゥ・ディール・オキュペ)私は《使っていた》と言ってしまった(現在形)

venir de  inf.  ~したばかりである

 

comme si (コムシ)まるで、あたかも.