フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「目が黒いバターに⇒ 殴られて目にあざが」

ー Je lui ai annoncé que cela pourrait lui coûter cher de jouer ce jeu-là. (---) J’ai remarqué son œil au beurre noir.  Je lui ai demandé qui lui avait fait ça.

(©Georges Simenon : Maigret a peur; Chap.6) 

 

「こんなマネをしても高くつくだけだと彼女に言いました。 (---) 片方の目に隈ができているのに気づいたので、誰がこんなことをしたんだとききました。」

(#60『メグレの途中下車』第6章)原題「メグレは恐怖の念を抱く」

 

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Crédit : Photo choc d’Alizée Poulicek avec un oeil au beurre noir: voici pourquoi elle a publié cette photo @sudinfo.be 2017

https://www.sudinfo.be/id28186/article/2017-12-20/photo-choc-dalizee-poulicek-avec-un-oeil-au-beurre-noir-voici-pourquoi-elle

 

Je lui ai annoncé que < avoir, annoncer(ジュリュイエ・アノンセ・ク)私は彼女に通告した(複合過去形)

 

cela pourrait lui coûter cher < pouvoir(スラプーレ・リュイクテシェー)それは彼女にとって高くつくだろう(条件法・現在形)

 

de jouer ce jeu-là(ドゥジュエ・スジューラ)こんなマネをすること

 

*J’ai remarqué son œil au beurre noir < avoir, remarquer(ジェルマルケ・ソノィユ・オブーノワー) 私は彼女の一方の目にあざがあるのに気づいた(複合過去形)œil  n.m. は単数形なので「片方の目」になる。複数形は yeux

œil au beurre noir 直訳で「目が黒いバターに」⇒「殴られて目の周りにあざが」

**œil とœuf は語感が似ているので「焦げた目玉焼き」が「隈ができた目」に対しても使われるようになったらしい。(確かな語源は不明)

au beurre noir 黒いバター=焦がしバター beurre brûlé に近い昔の表現

œil poché 目の下にたるみがある目

œuf poché ポーチドエッグ(湯煎した卵)

 

*Je lui ai demandé < avoir, demander(ジュリュイエ・ドゥマンデ)私は彼女にきいた(複合過去形)この場合の「彼女」lui は直接目的語「~を」ではなく、間接目的語「~に」になるので、直後の過去分詞 demandé に e は付かない。

 

qui lui avait fait ça < avoir, faire(キリュイ・アヴェフェサ)誰が彼女にこんなことをしたのか(大過去形)