フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「指二本のところ⇒ すぐ近くに」

  On avait été à deux doigts de l’incident. (---)

  La bouteille était sur la table.  Chaque fois que Maigret servait, Mme Van Hasselt mouillait de ses lèvres la pointe de son crayon et marquait les consommations dans son livre.

(©Georges Simenon : Un crime en Hollande; Chap.7) 

 

 もう少しでもめ事になりそうだった。(---)

 瓶はテーブルの上に置かれていた。メグレが酒をつぐ度に、女将のファン・ハッセルト夫人は鉛筆をなめて帳簿に勘定をつけていた。

(#08『オランダの犯罪』第7章)

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*メグレはオランダ警察の結論に異議を唱え、関係者の再尋問を要請した。犯人は身近なところにいて、それを誰かがかばっているというのだ。

 

*On avait été à deux doigts de l’incident < avoir, être(オンナヴェテテ・アドゥドワ・ドゥ・ランシダン)もう少しでもめ事になりそうだった(大過去形)

doigt n.m. 指、指の幅(約2cm)の長さ

à deux doigts de ~ / (à un doigt de) (慣用表現)~のすぐ近くに  

**フランス語では「ちょっと」というニュアンスに数字の「1」よりも「2」のほうを使うことが多い。日本語ならば「あと一歩」「ちょっと=一寸」だが、「ちょっと待って!」も “Deux secondes !”  になるのが面白い。

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Crédit photo : “Vous êtes à deux doigts du bonheur” de Françoise Spineux @amazon.fr

 

La bouteille était sur la table < être(ラブテーユ・エテシューラターブル)瓶はテーブルの上に置かれていた(半過去形)

 

Chaque fois que Maigret servait < servir(シャクフォワ・ク・メグレ・セルヴェ)メグレが酒をつぐ度に(半過去形)

 

mouillait de ses lèvres la pointe de son crayon < mouiller(ムイエ・ドゥセレーヴル・ラポワント・ドゥソンクレヨン)鉛筆の先を口で濡らした(半過去形)

 

marquait les consommations dans son livre < marquer(マルケ・レコンソマシォン・ダンソン・リーヴル)帳簿に勘定をつけていた(半過去形)