フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「~を邪魔しない⇒ それでも~であることに変わりはない」

N’empêche que le revolver qui a tué votre beau-frère est bien celui que Duclos avait à la main… À moins que l’assassin ne l’ait lancé au premier étage, par la fenêtre...

(©Georges Simenon : Un crime en Hollande; Chap.3) 

 

それでも義兄さんを殺した拳銃はまさしくデュクロが手にしていたものだというのは変わりませんよ。犯人が外から二階の窓に投げ入れない限りはね。」

(#08『オランダの犯罪』第3章)

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*建物の2階に発砲した拳銃があった。様子を見に行ったデュクロがそれを手にした。これは一種の密室内の犯行と言うことができる。

 

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Crédit photo : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Un crime en Hollande” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” 

© Antenne 2, 1976; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

*N’empêche que < empêcher(ナンペシュ・ク)~を邪魔しない⇒ それでも~であることに変わりはない(元々は主語に非人称の il があったのが省略された。il n’empêche que ~)

 

le revolver qui a tué votre beau-frère < avoir, tuer(ルルヴォルヴェ・キアチュエ・ヴォートル・ボーフレー)あなたの義兄さんを殺した拳銃(複合過去形)

 

est bien celui que Duclos avait à la main… < être, avoir(エビァン・スリュイク・デュクロ・アヴェタラマン)まさしくデュクロが手にしていたものだ(従属節は半過去形) 

 

*À moins que(アモワン・ク)~しない限りは(接頭句:後続の動詞は接続法) 

 

l’assassin ne l’ait lancé < avoir(ラササン・ヌレランセ)犯人がそれを投げ込まないとして

 

au premier étage, par la fenêtre(オープルミエ・エタージュ・パーラ・フネートル)二階の窓に