フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

メグレ警視の食卓「ブフ・グロセル」(直訳:粗塩牛肉)

ー Et pour Madame, ce sera ?...

ー Vous avez du bœuf gros sel ?

ー Mais oui, Madame…

ー Vous me mettez beaucoup d’oignons et de cornichons…(---) 

ー Vous désirez la salade en même temps ?

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.2) 

 

「それで奥様は何に?」

ブフ・グロセルはありますか?」

「もちろんですとも。」

「玉ねぎとピクルスを沢山つけてちょうだい。」(---) 

「一緒にサラダはいかがです?」

(#97『メグレと録音マニア』第2章)

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*これは被害者が直前に録音していた会話の一つで、バスティーユ広場近くのボーマルシェ大通りのブラスッスリ・ロレーヌで男女が食事を注文するところである。直接メグレが食べるものではないが、料理の名前が面白いので記載することにした。

 

*Et pour Madame, ce sera ? < être(エプーマダム・ススラ)それで奥様は何に(なさいますか)?(レストランで注文を受ける側のセリフ)(単純未来形)

 

*Vous avez du bœuf gros sel ? < avoir(ヴザヴェ・デュ・ブフグロセル)粗塩牛肉はありますか?

**bœuf gros sel(ブフ・グロセル):フランスの家庭料理「ポトフ」(Pot au feu) の一種でアルザス・ロレーヌ地方で呼ばれるもののようだ。gros sel は粗塩のことで煮込んだ牛肉を食べる時に添えられるという。昔は岩塩だったかもしれない。肉と野菜を何時間もかけてコトコト煮込むだけで、調理は簡単だが、一晩寝かせて次の日もまた煮込んでから食べるというのが本式らしい。

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Crédit photo : Plat du jour - Bœuf gros sel

@ Tripadvisor - Brasserie au canon, Strasbourg

https://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink-g187075-d2053302-i215883485-Brasserie_Au_Canon-Strasbourg_Bas_Rhin_Grand_Est.html

Mais oui, Madame(メウィ・マダム)もちろんですとも奥様(mais は oui を強調している)

 

Vous me mettez beaucoup d’oignons et de cornichons < mettre(ヴムメッテ・ボクー・ドワニョン・エドゥ・コルニション)私には玉ねぎとピクルスを沢山つけてください

 

Vous désirez la salade en même temps ? < désir(ヴデジレ・ラサラド・アンメームタン)あなた方は同時にサラダをお望みですか?