フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「そのあらゆる状態の中にいる⇒ 困惑している」

ー C’est l’Italien, Monsieur… (---) Il est dans tous ses états… Il paraît que c’est très urgent…(---)

ー Qu’est-ce qu’il ne va pas, Gino ?

ー Ce n’est pas moi, Docteur…(---) Il y a un blessé, sur le trottoir, qui doit être en train de mourir...

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.1er) 

 

「ご主人様、イタリア人が来ています。 (---) とても困惑しています。大至急のようです。」(---)

「どうしたんだい、ジーノ?」

「先生、俺じゃないんです。(---) 歩道にけが人がいて死にそうなんです。」

(#97『メグレと録音マニア』第1章)

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*医師のもとに夜分やってきたのは外来患者のイタリア人だった。最初に家政婦が応対した。

 

C’est l’Italien, Monsieur(セリタリアン・ムシュ)ご主人様、イタリア人が来てます

 

*Il est dans tous ses états(イレダン・トゥセゼタ)直訳で「彼はそのあらゆる状態の中にいる」⇒ 彼は困惑している

être dans tous ses états(慣用句)動転している、困惑している、狼狽している

(主に三人称単数で使われるようで、代名詞の ses は変わらない)どうしていいかわからない状態を表わすので、喜怒哀楽のすべての状態にあると言い換えたのだと思う。 よく使われる表現らしく、画像検索でも沢山出てくる。

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Crédit photo : L'Affiche de L'Amour dans tous ses états

Théâtre Tristan Bernard, 75008 Paris  @TickeTac.com

https://www.ticketac.com/spectacles/

 

Il paraît que < paraître(イルパレク)~のようだ(現在形)il は非人称

 

c’est très urgent(セトレジュルジャン)大至急だ

 

*Qu’est-ce qu’il ne va pas < aller(ケスキルヌヴァパ)どうしたんです?(何が良くないのか?) aller は体調などを話す場合に一番よく使われる。Comment allez-vous? / Ça va? など。

 

Ce n’est pas moi, Docteur(スネパモワ、ドクトゥー)私ではないんです、先生

 

Il y a un blessé(イリヤ・アンブレッセ)ケガ人がいる

 

sur le trottoir(シュール・トロットワー)歩道の上に

 

*qui doit être en train de mourir < devoir(キドワテートル・アントラン・ドゥムリール)死のうとしているのに違いない⇒死にそうになっている

être en train de ~しようとしている(途上にある)