フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)少し外国訛りで話す

  Elle parlait un français excellent, avec une pointe d’accent qui y ajoutait du charme. (---) puis soudain elle eut l’air de regarder quelque chose dans l’avenue Trudaine, parut hésiter, se leva, en disant vivement :

ー Vous voulez bien le garder une minute ?   Je reviens tout de suite.

(©Georges Simenon : L’Amie de Mme Maigret; Chap.1er) 

 

 彼女はフランス語を上手に話していた。ちょっとした外国訛りがあったが、それが魅力を添えていた。 (---) そこで急に彼女はトリュデーヌ通りで何かを見つめる様子だったが、ためらいながら立ち上がり、早口に言った。

「この子をちょっと見ててくれませんか? すぐに戻りますから。」

(#60『メグレ夫人と公園の女』第1章)

 

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*メグレ夫人はアンヴェール公園のそばにある歯医者に通っていたが、予約の時間待ちに公園のベンチに座っているうちに、子供を連れた女性と知り合いになる。彼女はちゃんとしたフランス語を話すが、少し外国訛りがあり、それが魅力にもなっていた。

 

*Elle parlait un français excellent < parler(エルパルレ・タンフランセ・ゼクセラン)彼女はフランス語を上手に話していた(半過去形)フランス語の話し方に言及されるということは、母国語を話しているのではないことが明らかだということになる。母国語を普通に話す人に対してフランス語が上手だとは決して言わないからだ。

 

avec une pointe d’accent(アヴェキュヌ・ポワント・ダクサン)ちょっとした外国訛りで 

 

qui y ajoutait du charme < ajouter(キイアジュテ・デュシャルム)魅力を添えていた(半過去形)

 

elle eut l’air de regarder quelque chose < avoir(エルウレール・ドゥルギャルデ・ケルクショーズ) 彼女は何かを見ている様子だった(単純過去形)

 

parut hésiter < paraître(パリュ・エジテ)ためらっているようだった(単純過去形)

 

se leva < se lever(スルヴァ)立ち上がった(単純過去形)

 

en disant vivement < dire(アンディザン・ヴィーヴマン)口早に言いながら(現在分詞)

 

Vous voulez bien le garder une minute ? < vouloir(ヴヴレビァン・ルギャルデ・ユヌミニュト)この子をちょっと見ていてくれませんか?  

 

Je reviens tout de suite < revenir(ジュルヴィアン・トゥドシュィト)すぐに戻ります



**事件の概容についてはこちらへ #60

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