フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)南仏のワイン「シャトーヌフ」

ー Mangez, mes amis.  Que dites-vous de ce châteauneuf ?... Ils n’en ont
plus que cinquante bouteilles, et je me les suis fait mettre de côté.  Il en reste
quarante-neuf. J’en demande une autre ?
ー Merci.  On aura du boulot toute la nuit. 
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.9) 

「お食べなさいよ。このシャトーヌフはどうです?…もう50本しか残ってないんで、脇に取っておくように言ったんです。あと49本です。もう一本頼みましょうか?」
「いや、今日は夜通しの仕事があるんで。」
(#55『メグレと殺人者たち』第9章)

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*ワインについてはほとんどが食事と一緒に飲まれるので「こだわりの酒」としての掲載は少ない。南仏のワイン「シャトーヌフ・デュ・パプ」
(Châteauneuf du pape) は直訳で「法王の新しい城」だが、産地の地名は、中世にローマ法王庁が一時期アヴィニョン(Avignon) に移されていたことに由来する。作者のシムノンが愛好したらしく、箱買いするほどだったようだ。ここでは劇場支配人のマルシャンに言わせている。南仏には鳥料理が多いので組み合わせると絶妙かも知れない。

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Crédit photo :Famille Perrin Châteauneuf-
du-Pape


Mangez, mes amis < manger(マンジェ・メザミ) あなた方、お食べなさい(命令形)

Que dites-vous de ce châteauneuf ? < dire(クディトヴ・ドゥスシャトーヌフ)このシャトーヌフはいかがですか?

*参考再出:メグレ警視の食卓「ホロホロ鳥のヒナ肉のオリーヴ油焼き」
地下の物置に行って年季の入ったシャトーヌフ・デュ・パプの最後の一瓶を取ってきた。(『メグレと匿名の密告者』第1章)


Ils n’en ont plus que cinquante bouteilles < avoir(イルナンノンプリュ・クサンカントブティユ)彼らは50本しか持っていない

je me les suis fait mettre de côté < se faire(ジュムレシュイフェメトルドゥコテ)私は彼らにとっておくように言った(複合過去形)

Il en reste quarante-neuf < rester(イランレスト・キャラントヌフ)それはあと49本残っている  il reste ~ 非人称(残っている)

J’en demande une autre ? < demander(ジャンドゥマンド・ユノートル)もう一本頼みましょうか?

On aura du boulot toute la nuit.< avoir(オノーラ・デュブロ・トゥトラニュイ)夜通しの仕事があるだろう(単純未来形)