フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「椅子に尻の半分しか座らない」

ー Ce serait tellement plus facile de parler si vous étiez assis gentiment.
  Jo fit le brave et s’installa dans un fauteuil, mais Ferdinand, qui ne connaissait pas Maigret, ne posa qu’une demi-fesse sur le bord de sa chaise.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.8) 

「あんたらがおとなしく座ってくれるならはるかに話しやすいだろう。」
 ジョーは強がりを見せて肘掛け椅子に座った。フェルディナンはメグレを知らなかったので、椅子の端に浅く腰を下ろしただけだった。
(#55『メグレと殺人者たち』第8章)

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*死体をコンコルド広場に捨てた黄色いシトロエンの持ち主という二人の男がメグレを訪ねて来た。

イメージ 1
Crédit photo : L’écran sur Youtube
Téléfilm “Maigret et son mort” de
“Les enquêtes du commissaire Maigret”
© ORTF, 1970 version russe
@Artur Varderesyan

Ce serait tellement plus facile de parler < être(ススレ・テルマン・プリュファシル・ドウパルレ)はるかにもっと話しやすいだろう(条件法・現在形)

*si vous étiez assis gentiment < être(シヴゼティエ・ザッシ・ジャンティマン)もしあんたらがおとなしく座ってくれたなら(半過去形)現実には彼らが立ったままで話していたので、座ることを促す意味で「条件法+si 半過去形」の構文を使っている。

fit le brave < faire le brave(フィルブラーヴ)強がりを見せた(単純過去形)

s’installa dans un fauteuil < s’installer(サンスタラ・ダンザン・フォトゥイユ)肘掛椅子に座った(単純過去形)

qui ne connaissait pas Maigret < connaître(キヌコネセパ・メグレ)メグレを知らなかったので(半過去形) 

*ne posa qu’une demi-fesse < poser(ヌポザ・キュヌ・ドゥミフェス)尻の半分しか置かなかった⇒ 浅く腰かけただけだった(単純過去形)尻 fesse n.f. は通常複数形で使われる。
類似した表現として:n'être assis que d'une fesse 片方の尻でしか座っていない ⇒ 不安定な状態で座る、腰を浮かす

*参考再出:フランス語の慣用表現「尻を縮める⇒びくびくする」
serrer ses fesses

sur le bord de sa chaise(シュールボー・ドゥサシェーズ)彼の椅子の端の上に