フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「皮膚の中に入る⇒ 役になりきる」

  Chevrier était entré tout à fait dans la peau de son rôle, et sa femme devait
faire de la bonne cuisine, car on comptait une vingtaine de clients dans la salle.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.7) 

 シェヴリエはすっかり自分の役になりきっていた。彼の妻も美味しい料理を作っているのに違いなかった。というのも店の中には20人ほどの客がいたからである。
(#55『メグレと殺人者たち』第7章)

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*くたびれながらもメグレはシャラントン河岸のアルベールの店にタクシーで向かった。刑事のシェヴリエが妻と一緒にカフェを切り盛りしながら情報を得ようとしていた。

*était entré tout à fait dans la peau de son rôle < être, entrer(エテタントレ・トゥタフェ・ダンラポー・ドゥソンロール)すっかり彼の役になりきっていた(大過去形)entrer dans la peau 直訳では「その皮膚の中に入る」だが「その人になりきる」(映画や芝居の役作りなど)が適訳とされる。
peau n.f. 肌、皮膚、皮、命、生命、人柄 に関する表現は多彩に広がっている。

イメージ 1
Crédit photo : L’Âne vêtu de la
peau de lion
collection seita. info

*sa femme devait faire de la
bonne cuisine < devoir(サファム・ドヴェフェール・ドゥラボンヌキュイジーヌ)彼の妻は美味しい料理を作っているのに違いなかった(半過去形)faire のあとに de が付く場合は「~にたずさわる」「~を行う」などのニュアンスがある。

car on comptait < compter(キャー・オンコンテ)なぜなら~が数えられた(半過去形)

une vingtaine de clients(ユヌヴァンテーヌ・ドゥクリアン)20人くらいの客 


**事件の概容についてはこちらへ #55