フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「くたくたでぶっ倒れそうだ」

Excusez-moi, messieurs. (---) Je tombe de fatigue
(---) Il paraissait si mou, si las, si flottant, que le juge Coméliau eut des remords (---) Puis, quand Maigret fut sorti : 
ー Il n’a plus l’âge de passer des nuits sans sommeil.  Pourquoi aussi vouloir
tout faire par lui-même ?
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.7) 

「皆さん、失礼します。(---) くたくたでぶっ倒れそうなので。」
(---) 彼はとても弱弱しく、くたびれて、ふらふらしているように見えたので、コメリオ判事も後悔の念にかられた。 (---) そしてメグレが出て行ったとき言った。
「彼はもはや幾晩も眠らずに過ごせる歳じゃないんだ。どうして何でも自分でやりたがるのかね?」
(#55『メグレと殺人者たち』第7章)

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*メグレは昨晩もまともに寝ていないので、長い会議で眠くなるのは当然だ。

*Je tombe de fatigue < tomber(ジュトンブ・ドゥファティグ)疲れてぶっ倒れそうです tomber de fatigue(慣用句)疲れて立っていられない

Il paraissait si mou < paraître(イルパレッセ・シムゥ)彼はとても弱弱しく見えた(半過去形)

si las, si flottant(シラ・シフロタン)とてもくたびれて、とてもふらふらしている

eut des remords < avoir(ウデルモー)後悔の念にかられた(単純過去形)

quand Maigret fut sorti < être(カン・メグレ・フュソルティ)メグレが出て行ったとき(単純過去形)

Il n’a plus l’âge de(イルナプリュ・ラージュドゥ) 彼はもはや~する歳ではない

passer des nuits sans sommeil(パッセデニュイ・サンソマィユ)幾晩も眠らずに過ごす

*Pourquoi aussi vouloir(プルコヮオッシヴロヮール)どうしてそんなに~したがるのか?(この文章には動詞の原形しかないが、たぶん tend-t-il <
tendre などの部分が省略されたのではないかと思う。)

tout faire par lui-même(トゥフェール・パーリュイメーム)彼自身で全部やる