フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「流れに置く⇒ 知らせる」

ー Je ne critique pas, messieurs. (---) Vous avez vos méthodes. Le commis-
saire Maigret, en particulier, a les siennes, qui sont parfois assez particulières. 
Il ne se montre pas toujours empressé à me mettre au courant, et pourtant, en dernier ressort, c’est moi seul qui suis responsable.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.7) 

「皆さん、私は批判はしませんよ。(---) あなた方にはそれぞれやり方があります。メグレ警視はとりわけ自分のやり方を持っています。それは時には独特すぎるものなのです。彼はいつも私に対し捜査の状況を熱心に伝えようとはしません。それでも結局は私だけがその責任を負うことになるのです。」
(#55『メグレと殺人者たち』第7章)

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*パリ市内の殺人事件と地方での強盗団の事件とが関連性が高いと考えられたので、担当のコメリオ判事のもとに、メグレとその関係者、および広域事件を担当する国家警察のコロンバーニ警視が集まった。メグレはコメリオがいつもまわりくどい考え方しかしないので、つい報告をおろそかにしがちになるのは確かだ。相性の問題だろうか?ここでもコメリオは不満をぶちまける。

イメージ 1
Crédit photo : L’écran sur Youtube
Téléfilm “Maigret et son mort” de
“Les enquêtes du commissaire
Maigret” © ORTF, 1970
version russe @Artur Varderesyan

Je ne critique pas < critiquer(ジュヌ・クリティクパ)私は批判しません

*Vous avez vos méthodes < avoir(ヴザヴェ・ヴォメトド)あなた方はあなた方のやり方を持っている 
méthode n.f やり方、流儀、手法

en particulier(アンパルティキュリエ)とりわけ

a les siennes < avoir(アレシァンヌ)彼のやり方を持っている 
les = méthodes n.f.pl.

qui sont parfois assez particulières < être(キソン・パルフォワ・ザッセパルティキュリエール)しばしばかなり独特すぎる  

Il ne se montre pas toujours empressé < se montrer(イルヌスモントルパ・トゥジューザンプレッセ)彼はいつも熱心な態度を見せない 

*à me mettre au courant(アムメトルオークーラン)私に話を通すこと
courant(クーラン)n.m. 流れ、流通、電流、期間、動向
フランス語としては頻繁に使われる単語で、特に情報の共有化が叫ばれる昨今では mettre au courant「話を通す」とか être au courant「事情に通じている」かどうかが着目されている。

*参考再出:フランス語の慣用表現「みんな知ってるよ」
*Tout le monde est au courant.(トゥルモンド・エトークーラン)誰もが知っている(語感の問題かもしれないが、Tout le monde le sait. とはあまり言わない。)

pourtant(プルタン)それでも

*en dernier ressort(アンデルニエルソール)最終的に、結局
ressort  n.m. ばね、気力、根性、権限、管轄

*c’est moi seul qui suis responsable(セモヮスール・キシュイレスポンサブル)責任を負うのは私ひとりなのだ(強調構文 c’est xx qui ~:xx を強調するとき qui 以下の文節の動詞は xx の人称を使う)