フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)嘘をつく

 Personne, en tout cas, ne l’avait vu redescendre.  Il est vrai que personne
non plus n’avait vu, ni entendu, (---)
ー Il faut pourtant bien que quelqu’un mente !  lança Maigret avec colère.
 Ou qu’il n’y ait pas eu d’assassin, ce qui était impossible.
(©Georges Simenon :Un échec de Maigret; Chap.6)

 ともかく彼がその後階下に降りてくるのを誰も見なかった。さらに他にも誰も見たり聞こえたりしなかったのは本当だ。(---)
「それでも誰かが嘘をついていなければならないんだ!」メグレは怒って言い放った。
 殺人があったのだから、何事もなかったということはありえないのだ。
(#76『メグレの失態』第6章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Personne ne l’avait vu redescendre < voir(ペルソンヌ・ヌラヴェヴュ・ルデサンドル)彼が再び階下に降りてくるのを誰も見なかった(半過去形)

en tout cas(アントゥキャ) ともかく、いずれにせよ

Il est vrai que(イレヴレク)~のは本当だ

personne non plus n’avait vu < voir(ペルソンヌ・ノンプリュ・ナヴェヴュ)さらに他にも誰も見なかった(大過去形)

ni entendu < entendre(ニアンタンデュ)聞こえなかった(大過去形)

Il faut pourtant bien que < falloir(イルフォ・プルタンビァンク)しかしながら~でなければならない(~である必要がある)

quelqu’un mente < mentir(ケルカンマント)誰かが嘘をついている(接続法)
イメージ 1

lança Maigret avec colère < lancer(ランサ・メグレ・タヴェク・コレール)メグレは怒って言い放った(単純過去形・倒置法)

*Ou qu’il n’y ait pas eu d’assassin < avoir(ウキルニエパウ・ダササン)あるいは殺人がなかったということ(接続法過去形)逆説的表現:殺人がなかったならば何事も見聞きしなかったで済むのだが、実際はそうではない。

ce qui était impossible(スキエテ・タンポシーブル)ありえないということ(半過去形)