フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)信用するだけ正当な理由

ー Sans doute avez-vous de bonnes raisons de croire en cet homme.
C’est un cambrioleur, n’est-ce pas ?  Je ne suis, moi, qu’une vieille femme
de soixante-dix-huit ans qui n’a jamais fait de mal à personne.
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.3)

「おそらくこの男のことを信用するだけ正当な理由がおありなんでしょうね。泥棒ですよね? 私の方はこれまで誰にも悪い事をしたことがない78歳の老女でしかないんです。」
(#65『メグレと消えた死体』第3章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*Sans doute avez-vous(サンドゥト・アヴェヴ)おそらくあなたは持っているでしょう。Sans doute が文頭に来た場合には倒置法になる慣用がある。これはおそらく和訳でも「~だろう」という推量表現が加わるのと共通するためかもしれない。
doute  n.m. 疑い、疑念、懐疑

de bonnes raisons(ドゥボンヌレゾン)正当な理由。bonnesが raisonsの前に来ているので、不定冠詞 des が de に変わる。

croire en cet homme(クロヮール・アンセトム)この男のことを信用する.  

Je ne suis qu’une vieille femme(ジュヌシュイキュヌ・ヴィエィユファム)私は一人の老女でしかない
de soixante-dix-huit ans(ドゥ・スワソント・ディズウィタン)78歳の

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*qui n’a jamais fait de mal à personne <
faire(キナジャメ・フェドゥマル・アペルソンヌ)これまで誰にも悪い事をしたことがない(複合過去形)

*参考再出:rien fait de mal 何も悪い事をしていない
フランス語の慣用表現「牛乳のスープだ ⇒ 怒りっぽい」

Crédit photo : Couverture de “Les 30
moustachus qui n’ont jamais rien fait de


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