フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)聞き込みで朝から白ワイン

 Au lieu de se rendre directement à la P.J., Maigret fit un crochet par le quai
de Jemmapes, reconnut le bistrot peint en vert, près de l’écluse Saint-Martin,
avec les mots « Casse-croûte à toute heure », et alla s’accouder au comptoir.
Un vin blanc.
 Ensuite, il posa la question.  L’Auvergnat qui le servait n’hésita pas.
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.3)

 警視庁にまっすぐ行く代りに、メグレはジュマプ河岸のほうに回り道をして、サン=マルタン水門の近くに緑の塗装のビストロを見つけた。看板に《軽い食事いつでも》とあった。彼は入ってカウンターに肘を乗せた。
「白ワインを一杯」
 それから質問をした。酒を出したオーヴェルニュ人はためらわなかった。
(#65『メグレと消えた死体』第3章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*メグレはのっぽ女のエルネスティーヌがジュマプ河岸のビストロの2階に住んでいるのを聞いていたので、事件当日、逃亡するアルフレッドから本当に電話連絡が入ったかどうかを確かめることにしたのだ。(この時代はまだ電話が貴重品で、店の電話を借りるのが一般的だった。)

Au lieu de(オーリュードゥ)~する代りに

se rendre(スランドル)v.pr. 赴く、行く

*fit un crochet < faire(フィタン・クロシェ) 回り道をした(単純過去形)
crochet  n.m. 鉤、フック、迂回、方向転換

reconnut le bistrot < reconnaître(ルコニュ・ルビストロ)居酒屋を見つけた(単純過去形)

peint en vert(パンタンヴェール)緑に塗られた

*près de l’écluse Saint-Martin(プレドゥ・レクリューズ・サン=マルタン)サン=マルタン水門の近くに

イメージ 1
パリのサン=マルタン運河は10区にある。南下すると暗渠になり、バスティーユ広場のアルスナル停泊地からセーヌ川に通じる。

Crédit photo : vue du Canal Saint
-Martin, Paris 11e
@Google street-view


Casse-croûte(カッスクルート)n.m. 簡単な食事、軽食、弁当

à toute heure(アトゥトゥール)いつでも

alla s’accouder au comptoir < aller(アラ・サクーデ・オコントヮ)カウンターに肘をつけに行った⇒行ってカウンターに肘をつけた(単純過去形)

il posa la question < poser(イルポザ・ラケスチォン)彼は質問をした(単純過去形)

L’Auvergnat(ローヴェルニャ)オーヴェルニュ地方出身の人

qui le servait < servir(キルセルヴェ)それ(酒)を供した人(半過去形)

n’hésita pas < hésiter(ネジタパ)ためらわなかった(単純過去形)