フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)窓辺での夕食

ー Qu’est-ce que tu as fait aujourd’hui ? demanda Mme Maigret, alors qu’ils
se mettaient à table devant la fenêtre ouverte.
 Dans les maisons d’en face aussi on voyait les gens manger, (---)  D’aucuns,
qui avaient déjà dîné, étaient accoudés à leur fenêtre. On entendait des
musiques de radio, des cris de bébé, des éclats de voix.
(©Georges Simenon : Maigret et la Grande Perche; Chap.3)

「今日は何をしたの?」とメグレ夫人は訊いた。彼らは開いた窓の前の食卓についていた。
 向い側の家々でも人々が食事をしているのが見えた。 (---) 人によってはすでに食事を済ませて、窓辺に肘をついていた。ラジオの音楽や赤ん坊の泣き声や人の騒ぎ声が聞こえた。
(#65『メグレと消えた死体』第3章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*パリの夏の夕暮、と言っても緯度が高い土地なので、午後8時を過ぎてもまだ夕暮にはならない。メグレの自宅があるパリ11区は下町風の住宅街で、通りを挟んだ集合住宅での、どこか懐かしい庶民の生活風景が繰り広げられている。(フランス人は、意外と自分たちの生活が見られているということをあまり気にしないような気がする)

Qu’est-ce que tu as fait aujourd’hui ?(ケスク・チュアフェ・オジュードゥイ)今日は何をしたのか?(基本的会話文)

*alors qu’ils se mettaient à table(アロー・キルスメッテアターブル)その時彼らは食卓についていた(半過去形)
se mettre à table 食卓につく

devant la fenêtre ouverte(ドゥヴァン・ラフネートル・ウヴェルト)開いた窓の前で
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Crédit photo : Hôtel Le Pradey - Paris
1er @hotels.com

Dans les maisons d’en face aussi(ダンレメゾン・ダンファス・オッシ)向い側の家々でも

*on voyait les gens manger < voir(オンヴォワィエ・レジャン・マンジェ)人々が食べているのが見えた(半過去形)
on の主語は、主体を誰と特定せずに一般論として語る場合によく使われる

D’aucuns(ドーカン)adv. 人によっては

qui avaient déjà dîné(キアヴェ・デジャ・ディネ)すでに夕食を済ませた

étaient accoudés à leur fenêtre < accoudé(エテ・タクーデ・ザルーアフネートル)adj. 窓辺に肘をついていた

On entendait < entendre(オンナンタンデ)v.i. 聞こえてきた

des cris de bébé(デクリ・ドゥベベ)赤ん坊の泣き声

des éclats de voix < éclat de voix(デゼクラ・ドゥヴォワ)突然の大声