フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「風呂に入れる」(2)「その一口を食べる⇒白状する」(2)

» Il se demande surtout qui pourra témoigner et le mettre dans le bain.  A
tort ou à raison, il ne craint pas que tu parles.  Seulement, il y a, là-haut, dans
une mansarde, un comparse (---) qui risque de manger le morceau.
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.7)

 

「奴はとりわけ誰が証言できて自分を危うくするのかを考えてみた。理由はともかく、あんたがしゃべることはないと見ていた。ただ一つ、この上の屋根裏部屋にいる下っ端の老人が白状する恐れがあったのさ。」
(#91『メグレと宝石泥棒』第7章; 原題は「メグレの忍耐」)

 

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Il se demande < se demander(イルスドゥマンド)彼は自問する、疑う、いぶかる

 

surtout(シュルトゥ)adv. とりわけ
 
pourra témoigner < pouvoir(キプーラ・テモワニェ)証言できる(単純未来形)

 

*le mettre dans le bain(ルメットル・ダンルバン)彼の立場を危うくする
*参考再出:フランス語の慣用表現「~を風呂に入れる⇒ ~を危ない状態に引き込む」mettre qn. dans le bain
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*A tort ou à raison(アトー・ウ・アレゾン)直訳では「間違っているかあるいは理由があって」⇒「是非はともかく」、「理由はともかく」

 

il ne craint pas < craindre(イルヌクレンパ)彼は~を心配しない(現在形)

 

là-haut(ラオー)adv. あそこの、あの上の

 

mansarde(マンサルド)n.f. 屋根裏部屋

 

comparse(コンパルス)n.m. 端役、下っ端

 

qui risque de < risquer(キリスクドゥ)~の恐れがある

 

*manger le morceau(マンジェ・ル・モルソー)直訳で「その一口を食べる」⇒「白状する」
*参考再出:フランス語の慣用表現「その一口を食べる⇒白状する」