フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)食卓につく⇒ 白状する

ー Vous ne croyez pas, monsieur Serre, qu’il serait plus simple et moins fatigant de vous mettre à table ?  A quel moment avez-vous tué votre femme ?
ー Je ne l’ai pas tuée.
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.7)

「セールさん、話してしまったほうがもっと簡単で疲れずに済むと思いませんか? どの時点で奥さんを殺したんです?」
「私は殺していません。」
(#65『メグレと消えた死体』第7章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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Vous ne croyez pas que ~ < croire(ヴヌクロヮイエパ・ク)~だと思いませんか?(否定疑問文・現在形)

il serait plus simple et moins fatigant < être(イルスレ・プリュサンプル・エモヮンファティガン) より簡単でもっと疲れないだろうと(条件法現在形)il は非人称

*de vous mettre à table < se mettre(ドゥヴメトル・アターブル)本来ならばそのまま訳して「食卓につく」になるが、裏の意味としては(警察用語として)「白状する、真実を話す」として使われる。類似する表現としては
manger le morceau がある。どちらも食べることに共通している。

*参考再出:フランス語の慣用表現「その一口を食べる⇒白状する」
イメージ 1

Crédit de l'écran d’Youtube ‘’Maigret
et La Grande Perche’’;
le film avec Bruno Crémer
@macri rossi

A quel moment(アケルモマン)どの時点で

*avez-vous tué votre femme ? < avoir(アヴェヴ・チュエ・ヴォートルファム)あなたは妻を殺したのか?(疑問文・複合過去形)
*Je ne l’ai pas tuée < avoir(ジュヌレパ・チュエ)私は彼女を殺さなかった(否定文・複合過去形)
すぐ上の疑問文と同じ内容だが、疑問文では目的語が過去分詞 tué の後に来るのでそのままであるのに対して、否定文では女性代名詞 la が tué の前にあるので、e が付いている。