フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)オーヴェルニュ自家直送のワイン

ー C’est fini là-bas ?  Vous voulez des sandwiches aussi ?  Au jambon du
Cantal ?
(---) Il (---) savourait lentement son sandwich.
ー Il est bon, ce vin ?
ー Un peu dur au goût de certains, cela tient à ce qu’il n’est pas trafiqué.  Il
me vient tout droit de chez mon beau-frère, qui n’en fait qu’une vingtaine de
pièces par an.
 Il goûta du même vin qu’il avait envoyé à Janin (---)
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.8)

「あちらは終わったんですか? あなたもサンドウィッチですか? カンタルのハムで?」(---)
 彼はゆっくりとサンドウィッチを賞味した。
そのワインはおいしいのかい?」
「人によってはちょっときついですかね。ずっと変な細工はしてないんですよ。これは義理の兄弟のところから直接来るんです。年に20樽くらいしかできないので。」
 彼はジャナンに届けさせたのと同じワインを味わった。
(#91『メグレと宝石泥棒』第8章; 原題は「メグレの忍耐」)

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C’est fini(セフィニ)終わった

là-bas(ラバ)あちらでは
*jambon du Cantal(ジャンボン・ドゥ・カンタル)カンタルのハム
カンタル(Cantal) はオーヴェルニュ地方南西の山間部の地名。生ハムとチーズが名産。
savourait < savourer(サヴーレ)v.t. 味わう、賞味する

lentement(ラントマン)adv. ゆっくりと

Un peu dur(アンプゥデュール)少し硬い、きつい

au goût de certains(オグードセルタン)何人かの好みには

cela tient à < tenir(スラチアンタ) ~を保持している、保つ

*ce qu’il n’est pas trafiqué(スキルネパ・トラフィケ)変な細工をしていないということ/trafiquer v.t. 不正取引をする、商品に細工をしてごまかす

tout droit(トゥドロヮ) adv. まっすぐ、直接

par an(パーラン)一年で

goûta < goûter(グタ)v.t. 味わう、楽しむ

*même vin(メーム・ヴァン)同じワイン
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オーヴェルニュ地方産のワインは「コート・ドーヴェルニュ」côtes d’Auvergne という呼称が付けられている。ロワール川の流域の上流部にあたる。山間部の狭い土地なので、あまり大量の作付けはないが、独特の風味があるようだ。

メグレの故郷のサン=フィアクル村 (Saint-Fiacre) や高校で寮生活を送ったムーラン (Moulins) もこの地方の入口に位置する。中心都市はクレルモン=フェラン
(Clermont-Ferrand) である。もちろんサン=フィアクル村はフィクション上の村で、実在のモデルの村はパレー=ル=フレジル (Paray-le-Frésil)になる。

Crédit photo : La Légendaire, vin d’Auvergne AOC, Maison Desprat