フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)パルドン医師との夕食会

  Cela se passait rue Popincourt, à quelques centaines de mètres du boulevard Richard-Lenoir, chez les Pardon, où les Maigret avaient l’habitude, depuis plusieurs années, de dîner une fois par mois.  Et, une fois par mois aussi, le docteur et sa femme venaient dîner chez le commissaire.

(Georges Simenon : Maigret se défend; Chap.1er) 

 

 それはリシャール=ルノワール大通りから数百メートルのポパンクール街にあるパルドン医師宅で、数年前から月に一度、メグレ夫妻が夕食をする習慣だった。そしてまた、月に一度、医師夫妻が警視の家に夕食にやって来たのだった。

(#90『メグレたてつく』第1章)

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シムノンの最晩年期のメグレ作品(90作目以降)ではパルドン医師夫妻との交換夕食会、つまり双方の家に月一回ずつ夕食に呼び合うのが習慣となっていた。パルドン医師は近所の町医者で、第79作「火曜の朝の訪問者」ではメグレ夫妻が診察を受けに行っている。第83作「老外交官の死」では外で4人で夕食をしているが、その後自宅での夕食会になっていったようだ。その場面が出てくると微笑ましくなるが、現実にはなかなかこうした交友関係に至ることはないだろうと思う。

 

Crédit d’image : L’écran sur Youtube 

Téléfilm #8 “Maigret se défend" avec Bruno Crémer

1993.05 © Dune / France2

 

Cela se passait < se passer(スラスパッセ)それは起こっていた(半過去形)

 

à quelques centaines de mètres du boulevard(アケルクサンテーヌ・ドゥメートル・デュブルヴァー) 大通りから数百メートルにある

 

chez les Pardon(シェレパルドン)パルドン家のところで(苗字に les が付くと「~家の人々」になる)

 

où les Maigret avaient l’habitude < avoir(ウレメグレ・アヴェラビチュド)メグレ一家が習慣にしていた(半過去形)

 

depuis plusieurs années(ドピュイ・プリュジューザネ)数年前から

 

de dîner une fois par mois(ドゥディネ・ユヌフォワ・パーモワ)月に一度夕食をする(不定形)

 

Et, une fois par mois aussi(エ・ユヌフォワパーモワ・オッシ)そして同じく月に一度

 

le docteur et sa femme(ルドクトゥー・エサファム)医師とその夫人

 

venaient dîner chez le commissaire < venir(ヴネディネ・シェルコミセール)警視の家に夕食に来ていた(半過去形)