フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

メグレ警視の食卓「子牛の頭の煮込、亀のソース和え」

 ー Vous aimez la tête de veau ?

ー Assez.

ー Alors vous l’aimerez en tortue.  C’est un plat que j’ai découvert lors d’un voyage en Belgique. (---)

  Au dernier moment, Pardon, comme il l’expliqua presque scientifiquement, avait penché pour un beaujolais léger.

(©Georges Simenon : Le revolver de Maigret; Chap.9) 

 

子牛の頭料理は好きですか?」

「かなり好きです。」

「それなら亀のソースのも気に入るでしょうな。ベルギーに旅行したときに見つけたんですよ。」 (---)

 土壇場になって、パルドンはほとんど科学的に説明したが、ワインは軽いボージョレのほうに傾いていた。

(#67『メグレの拳銃』第9章)

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*メグレ夫妻がパルドン医師宅での夕食会で食べた野性味のある珍しい料理である。

 

Vous aimez la tête de veau ? < aimer(ヴゼメ・ラテト・ドゥヴォー)あなたは子牛の頭料理が好きですか?

 

Assez(アッセ)かなり

 

Alors vous l’aimerez en tortue < aimer(アロー・ヴレームレ・アントルチュ)それなら亀のソースのも気に入るでしょう(単純未来形)

 

**la tête de veau en tortue(ラテトドゥヴォー・アントルチュ)

 子牛の頭の煮込み料理は、欧州各国で食べられているが、料理の仕方もいろいろあるようだ。一般的に頭をそのまま丸ごと煮込んでいき、骨以外の全部を食べる。豚の頭を食べる日本の一部を含む東洋の国々に通じるかもしれない。ベルギーでは「亀のソース」と呼ばれるマデラ酒と香草を煮だしたベースのソースで、ベルギー風ポテトフライを添えて食べる。かなりトロトロで脂ぎった感じだった記憶がある。(日本人に合うのはせいぜい鯛の兜煮だろう。)

 

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Crédit photo : La tête de veau en tortue et ses frites belges

@Blog : Méditations urbaines

https://vivianelaroy.wordpress.com/2018/12/18/la-tete-de-veau-en-tortue-et-ses-frites-belges/

 

C’est un plat que(セタンプラ・ク)それは~という料理です 

 

j’ai découvert lors d’un voyage en Belgique < avoir, découvrir(ジェデクヴェー・ローダンヴォワヤージュ・アンベルジク)私がベルギー旅行したときに見つけた(複合過去形)

 

Au dernier moment(オーデルニエモマン)最後の瞬間に

 

comme il l’expliqua presque scientifiquement < expliquer(コミル・レクスプリカ・プレスク・シアンティフィクマン)彼がほとんど科学的に説明したように(単純過去形)

 

avait penché pour un beaujolais léger < pencher(アヴェパンシェ・プーアン・ボージョレ・レジェ)軽いボージョレのほうに傾いた(大過去形)