フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)考え事をしながら通りをうろつくメグレ

  Maigret allait rôder avenue George V, maussade, tirant de petis coups sur sa pipe, jetant des coups d’œil à gauche et à droite, s’asseyant ici ou là et se relevant presque tout de suite comme s’il ne savait que faire de son grand corps.

(©Georges Simenon : Maigret voyage; Chap.6) 

 

 メグレはジュルジュ・サンク通りをうろついていた。ぶすっとして、小刻みにパイプをふかし、左右を眺めわたし、あちこちのベンチにすわってはすぐに立ち上がったりして、まるで自分の大きな身体を持て余しているようだった。

(#78『メグレとかわいい伯爵夫人』第6章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*メグレは珍しくもメトロを使い、シャンゼリゼの中ほどにあるジュルジュ・サンク駅で降り、ジュルジュ・サンク通りをぶらぶら歩いてホテルに向かう。

 

Crédit d’image : Vue de l’hôtel George V, Paris 8e @google street-view

 

allait rôder avenue < aller(アレロデ・アヴニュ)通りをうろついていた(半過去形)

 

maussade, tirant de petis coups sur sa pipe < tirer(モーサド・チランドゥ・プティクー・シューサピプ)不機嫌で、小刻みにパイプをふかしながら(現在分詞) 

 

jetant des coups d’œil < jeter(ジュタン・デクードゥイユ)眺めながら(現在分詞)

 

à gauche et à droite(アゴーシュ・エ・アドロワト)右に左に(日本語の言い方では常に「右」を先に言うが、フランス語では「左に右に」になっている。語調の問題だと思う。漢字では「左右」なのでこれも「左」が先だ。)

 

s’asseyant ici ou là < s’asseoir(サッセヤン・イシウラ)あちらこちらに腰をかけながら(現在分詞)

 

et se relevant presque tout de suite < se relever(エスルルヴェ・プレスク・トゥドシュイト)そしてほとんどすぐに立ち上がりながら(現在分詞)

 

comme s’il ne savait que faire < savoir(コムシルヌ・サヴェ・クフェール)あたかも彼がどうしていいかわからないかのように(半過去形)

 

de son grand corps(ドゥソン・グランコー)その大きな身体を