フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「俺が悪いんじゃない」

ー Et je vous jure que c’est pas ma faute si le coup est parti… Je crois bien que c'est le froid qui m’a fait pousser le doigt sur la gâchette…

(©Georges Simenon : L’Homme dans la rue) 

 

「誓って言いますが、もし銃弾が発射されたとしても俺が悪いんじゃないよ。寒さのせいで引き金に掛った指が動いたんだ。」

(#39『街中の男』)

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*メグレはおとり捜査の手段を取る。容疑者として捕まえた男を現場検証に立ち会わせ、その様子を見に来た人物の中で挙動不審の者を尾行しようというのだ。

 

Et je vous jure que < jurer(エジュヴジュール・ク)そして私はあなたに誓って言うが(現在形)

 

*c’est pas ma faute < être(セパマフォート)それは私の過ちではない(常套句)文法的に正しいのは “ce n’est pas ma faute” だが、ne が省略されることが多い。事が起きたときにフランス人が真っ先に自分への責任回避を口にすることが多いのはなぜだろうか?(日本人ならまず「すみません」と言うのとは真逆だ。)

 

Crédit photo : C'est pas ma faute ! - film 1999 - @AlloCiné

 

si le coup est parti < être, partir(シルクー・エパルティ)もし銃弾が発射されたとしても(複合過去形)

 

Je crois bien que < croire(ジュクロワビァン・ク)私は確かに~だと思う(現在形)

 

c'est le froid < être(セルフロワ)それは寒さだ(現在形)

 

qui m’a fait pousser le doigt < avoir, faire(キマフェ・プッセルドワ)私に指を押させしめたのは(複合過去形)

 

sur la gâchette(シューラ・ガシェット)引き金に掛った