フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(犬猫のいる情景)陶器の犬たちのように互いを見る

ー Ils sont à peu près du même âge, de bonne famille tous les deux… Dites-moi pourquoi ils se seraient regardés comme des chiens de faïence ?

(©Georges Simenon : L’Affaire Saint-Fiacre; Chap.8) 

 

「彼らはほとんど同じ年齢で、二人とも良家の出だ。どうして彼らが陶器の犬たちのように互いに冷ややかに見ているのか教えてくれないか。」

(#14『サン・フィアクル殺人事件』第8章)

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*伯爵は事件の関係者を全員夕食に招待する。それには母親の生前に城館で秘書官として思うがままに暮らしていた若いメタイエも含まれていた。

 

Ils sont à peu près du même âge < être(イルソン・アプープレ・デュメーマージュ)彼らはほとんど同じ年齢である(現在形)

 

de bonne famille(ドゥボンヌファミーユ)良家の出で

 

tous les deux(トゥレドゥ)二人とも

 

Dites-moi pourquoi < dire(ディットモワ・プルコワ)どうしてなのか言ってくれ(命令形)

 

ils se seraient regardés comme des chiens de faïence < se regarder(イルススレ・ルギャルデ・コムデ・シァンドゥ・ファイアンス)彼らは陶器の犬たちのように見つめ合っていた(条件法・過去形)

*se regarder en chiens de faïence(慣用表現)「陶器の犬たちのように互いを見つめる」⇒「冷ややかに見つめ合う」

Crédit photo : La Poste  - Se regarder en chiens de faïence

語源に関しては、Wiktionnaire によると、向かい合わせに置かれた一対の犬の陶器の置物(例えばブックエンド用)が互いに無言で冷ややかに見つめ合っているという印象から由来したと考えられている。日本ならば神社の境内にある狛犬を連想する。

https://fr.wiktionary.org/wiki/se_regarder_en_chiens_de_fa%C3%AFence