フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)言葉を探す

  Il cherchait le mot.  Amitié était trop fort.  Attirance n’aurait pas eu de sens pour elle.

ー J’avais beaucoup d’estime pour votre fils…

  Le mot n’était pas exact non plus, (---)

(©Georges Simenon : Maigret et le voleur paresseux; Chap.3) 

 

 彼は言葉を探した。親愛は強すぎた。喚起は彼女にとって意味をなさないだろう。

「息子さんをとても評価していました。」

 その言葉もまた適当ではなかった。

(#84『メグレと優雅な泥棒』第3章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*この家への訪問を終えてメグレは外に出た。被害者の身辺を知ることができたのだが、息子を殺された母親への言葉としては適当でなかった。

 

f:id:maigretparis:20220224105636j:plain

Crédit d’image : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Maigret et le voleur paresseux” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” © Antenne 2, 1988; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

Il cherchait le mot < chercher(イルシェルシェ・ルモ)彼は言葉を探していた(半過去形)

 

*Amitié était trop fort < être(アミティエ・エテ・トロフォー)親愛は強すぎた(半過去形)

**amitié は女性名詞なので、形容詞は forte になるはずなのだが、ここでは le mot(~という言葉)が言外の主語になるので、変化していない。

 

Attirance n’aurait pas eu de sens pour elle < avoir, avoir(アッチランス・ノーレパウ・ドゥサンス・プーエル)喚起は彼女にとって意味をなさなかっただろう(条件法・過去形)

attirance  n.f. 引きつけ、魅力、喚起

 

J’avais beaucoup d’estime < avoir(ジャヴェ・ボクーデスティム) 私は高く評価していた(半過去形)

estime n.f. 敬意、評価

 

pour votre fils(プーヴォートルフィス)あなたの息子に対して

 

Le mot n’était pas exact non plus < être(ルモ・ネテパ・エグザクト・ノンプリュ)その言葉もまた適当ではなかった(半過去形)