フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)ノルマンディではカルヴァドス

  Maigret but un calvados, parce qu’il était en Normandie et qu’il avait commencé.

(©Georges Simenon : Maigret et la vieille dame; Chap.3) 

 

 メグレは、ノルマンディにいるのだし、カルヴァドスで始めていたのだからそれを飲んだ。

(#59『メグレと老婦人』第3章)

 

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*メグレにとっては、事件ごとに、あるいは季節ごとに、そのときの酒にこだわる傾向がある。この事件のときは(高級かどうかは別として)カルヴァドスを飲むことから捜査が始まったのと、産地のノルマンディにいるのだからという理由を重視している。カルヴァドスはリンゴから作る蒸留酒

 

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Crédit photo : "Calvados du vieux bouilleur Normand Chanu (Orne)" Etiquette-chromo début 1900 @ebay.fr



but un calvados < boire(ビュタンカルヴァドスカルヴァドスを一杯飲んだ(単純過去形)

 

parce qu’il était en Normandie < être(パースキレテ・アンノルマンディ)なぜなら彼はノルマンディにいたから(半過去形)

 

et qu’il avait commencé < avoir, commencer(エ・キラヴェコマンセ)そして彼はそれで始めていたから(大過去形)



*参考再出:(こだわりの酒)事件の〆にカルヴァドス (2019.07.27) 『メグレと殺人者たち』第10章

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18912621

**「カルヴァドス」に関する既出記事は上記を含めすでに10以上に及んでいる。