フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)旧家の没落

ー Qu’est-ce que c’était ?

ー Un type qui ne se résignait pas à perdre.

ー Je ne comprends pas.

ー Cela ne fait rien.  Il y a des gens qui, plutôt que de dégringoler la pente, sont capables de n’importe quoi.

(©Georges Simenon : Maigret a peur; Chap.9) 

 

「どういう事件だったの?」

負けを受け入れたくなかった男の話さ。」

「わからないわ。」

「どうでもないよ。坂道を転げ落ちるよりもむしろどんなことでもやろうとする人たちがいるのさ。」

(#60『メグレの途中下車』第9章)原題「メグレは恐怖の念を抱く」

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*かつて繁栄していた一族が没落する局面に至ったときの、そこの人たちの暗澹とした心情を、シムノンはメグレの事件の中でもしばしば取り上げている。結果として、メグレ物にはハッピーエンドの事件などというものは存在しないのだと毎回痛感し、ため息をつくことになる。C’est la vie !(完)

 

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Qu’est-ce que c’était ? < être(ケスク・セテ)それは何だったのか?(半過去形)

 

Un type qui ne se résignait pas à perdre < se résigner(アンティプ・キヌスレジニェパ・アペルドル)負けることを甘受しなかった人(半過去形)

 

Je ne comprends pas < comprendre(ジュヌコンプランパ)私はわからない

 

Cela ne fait rien < faire(スラヌフェリァン)何でもない

 

Il y a des gens qui(イリヤデジャン・キ)~という人たちがいる

 

plutôt que de dégringoler la pente(プリュトク・ドゥデグランゴレ・ラパント)坂道を転げ落ちるよりはむしろ

 

sont capables de n’importe quoi < être(ソンカパーブル・ドゥナンポルトクワ)どんなことでもできる

 

*参考サイト:「いるすか」メグレ~運命の修繕人(感想文)メグレの途中下車

https://irusuka.sakura.ne.jp//maigret/maigret01.html#peur