フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「外観を支払わない⇒ 見栄えがしない」

ー Je serai au Palais de Justice.  Tu sais où c’est ?

ー Rue Rabelais, non ?

ー Un peu plus haut que chez Vernoux. Tu verras d’abord les grilles de la prison, puis un bâtiment qui ne paie pas de mine.

(©Georges Simenon : Maigret a peur; Chap.2) 

 

「私は裁判所にいるよ。どこだか知ってる?」

ラブレー通りじゃないの?」

「ヴェルノーの家のもうちょっと先だよ。まず拘置所の鉄柵が見えて、それからさえない建物がある。」

(#60『メグレの途中下車』第2章)原題「メグレは恐怖の念を抱く」

 

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*メグレが訪れたフォントネー=ルコント(Fontenay-le-comte) は古くからの町で、ルネサンス期の文豪フランソワ・ラブレーが青年期ここにあった修道院で勉学に励んだ記録がある。シムノンは町の街路の様子や建物の位置関係について非常に忠実に描写している。(しかし拘置所と裁判所の遠近は現実では逆になっている)

 

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Crédit d’image : Tribunal d’instance, 26 Rue Rabelais, 85200 Fontenay-le-Comte  @ Google street-view(簡易裁判所

 

Je serai au Palais de Justice < être(ジュスレ・オーパレドゥ・ジュスティス)私は裁判所にいるだろう(単純未来形)

 

Tu sais où c’est ?  < savoir, être(チュセ・ウセ)それがどこか君は知っているか?

 

Rue Rabelais, non ?(リュラブレ・ノン)ラブレー通りじゃないの?

 

Un peu plus haut que chez(アンプープリュオー・クシェ)~の家よりももうちょっと先

 

Tu verras d’abord les grilles de la prison < voir(チュヴェラ・ダボー・レグリユ・ドゥラプリゾン)君はまず刑務所(拘置所)の鉄柵を見るだろう(単純未来形)

 

puis un bâtiment qui(ピュイ・アンバティマン・キ)それから~の建物

 

*ne paie pas de mine < payer(ヌペパドゥミーヌ)ぱっとしない、見栄えがしない、さえない(慣用表現)

原形 ne pas payer de mine(直訳で)外づらを支払わない=見かけを良くしようということにお金をかけない

mine  n.f. 顔、顔つき、外観、風貌、風采