L’ancien patron du Cadran, en effet, s’appelait Loiseau, Désiré Loiseau.
(---)
ー Asseyez-vous, monsieur le commissaire. (---) Bobonne, tu nous serviras à
boire…
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.5)
結局《時計の文字盤》の昔の店主は、ルワゾー、デジレ・ルワゾーという名前だった。
「彼が北の出身というなら、年季の入った杜松酒(ネズ酒)を出してくれるよ。」
(---)
「警視さん、どうぞお座りください。(---) おぃお前、飲み物を出してくれ。」
そしてそれは小さなグラスに入った杜松酒(ネズ酒)だった。
(#55『メグレと殺人者たち』第5章)
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*メグレが聞きだした昔の店主の家は、パリ東部郊外のジョワンヴィル(Joinville)にあった。それほど遠くないのでタクシーで行くことにした。
en effet(アネフェ)結局、つまり
s’appelait Loiseau < s’appeler(サプレ・ルワゾー)ルワゾーという名前だった(半過去形)
Tu verras qu’il est du Nord < voir(チュヴェラ・キレデュノール)君は彼が北部出身だということがわかるだろう(単純未来形)
qu’il va nous offrir < aller(キルヴァ・ヌゾフリール)彼は我々にふるまってくれるだろう(現在形)
*un vieux genièvre(アンヴュー・ジュニエーヴル)熟成した杜松酒
杜松酒(ネズ酒)はフランス北部からベルギー、オランダで作られる蒸留酒の一つで、香辛料の一つである杜松の実を加えている。英国では「ダッチ・ジン」(dutch gin)と呼んでいる。原作者のシムノンはベルギーのリエージュ出身なので、特に馴染み深いようで、他の事件でも(例:「怪盗レトン」)痛飲する場面が出てくる。
Crédit photo : Genièvre de Houlle 49°
Genièvre (boisson) @wikipédia.fr
Asseyez-vous < s’asseoir(アッセィエ・ヴー)お座りください(命令形)
Bobonne(ボボンヌ)n.f. おまえ(妻を呼ぶ時の名称)
tu nous serviras à boire < servir(チュヌセルヴィラ・アボワール)飲み物を出してくれ(単純未来形)
ce fut le petit verre < être(スフュ・ルプチヴェール)それは小さなグラスだった(単純過去形)