フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレと印象的な女性たち)やぶにらみのニーヌ

ー Vous n’avez pas connu sa femme ?
ー Il est venu me la présenter un jour.  Une brune, pas très jolie…
ー Elle louchait ?
ー Elle avait les yeux un peu de travers, oui.  Mais ce n’est pas déplaisant.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.5)

「彼の奥さんを知ってましたか?」
「いつだったか連れてきましたよ。茶髪で、すごい美人というわけでもなく…」
やぶにらみでしたか?」
「うん、ちょっと斜めに見る目だったね。でも嫌な感じじゃないよ。」
(#55『メグレと殺人者たち』第5章)

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シムノンの作品にはしばしば斜視の女性が登場する。シムノンがこうした女性を好んで取り上げたのは、ちょっと目つきが変ではあるが、性格的には魅力ある女性として描きたかったのだと思う。メグレはニーヌを知っているはずなのだが、まだ思い出せない。
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Info Bien-être, overblog


Vous n’avez pas connu sa femme ? <
connaître(ヴナヴェパ・コニュサファム)あなたは彼の奥さんを知っていませんでしたか?(複合過去形)

Il est venu me la présenter un jour < venir(イレヴニュ・ムラプレザンテ・アンジュール)  彼はある日彼女を私に紹介するために来た(複合過去形)

Une brune, pas très jolie(ユヌブリュヌ・パトレジョリ)茶褐色の髪の毛で、すごい美人というわけでもない

Elle louchait ? < loucher(エルルーシェ)彼女はやぶにらみだったか?(半過去形)

Elle avait les yeux un peu de travers < avoir(エラヴェ・レジュー・ザンプードゥトラヴェール)彼女はちょっと斜めに見る目をしていた(複合過去形)

ce n’est pas déplaisant(スネパ・デプレザン)それは嫌な感じではない


*参考サイト:ウィキペディア(仏語:斜視=ストラビスム)
斜視傾向だった有名人として、リンカーンケネディサルトルブリジット・バルドー、ダリダ、ペネロペ・クルスなどを挙げている。
Strabisme — Wikipédia