フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)芝居を打つ、嫌疑

ー Il me vole mon portefeuille.  Il me téléphone, me joue comédie telle qu’elle doit écarter de lui les soupçons.  Et il en fait trop, justement ! 

(©Georges Simenon : Le Voleur de Maigret; Chap.9) 

 

「彼は私から財布を盗んだ。私に電話してきて、自分への嫌疑を遠ざけるに違いないような芝居を打ったんだ。それでまさに彼はそれをやり過ぎたのさ!」

(#93『メグレの財布を掏った男』第9章)(メグレの泥棒)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*メグレは現場の建物に戻って、同じ建物内に住む写真家と事件当夜の話を詳しく聞き出す。リケンの住まいを訪ねると返事がないので、最悪の事態を直感したメグレは扉を壊して入る。リケンは浴室で自殺を図っていた。すべては彼の自作自演だった。しかし仮にメグレを騙せたとしても、崖っぷちの彼の人生は取り返しがつかなかったのだ。(完)

 

f:id:maigretparis:20210502100741j:plain

Crédit d’image : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Le Voleur de Maigret” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” 

© Antenne 2, 1981; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

Il me vole mon portefeuille < voler(イルムヴォル・モンポートフイユ) 彼は私から財布を盗む(現在形) 

 

Il me téléphone < téléphoner(イルム・テレフォヌ)彼は私に電話する(現在形)

 

*me joue comédie < jouer(ムジュコメディ)私に対して芝居を打つ(現在形)原文では冠詞が付いていないが、その辺の用法はテキトウなのかもしれない。

jouer la comédie 芝居を打つ、人をだます

 

telle qu’elle doit écarter de lui les soupçons(テルケルドワ・エカルテドゥリュイ・レスープソン)それ(芝居)が彼を嫌疑から遠ざけるように

 

Et il en fait trop, justement ! (エ・イランフェトロ・ジュストマン)そして彼はまさにそれをやり過ぎる(現在形)