フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(猫のいる情景)猫に好かれるメグレ

  Le chat venait se frotter à son pantalon et le regardait comme pour quêter une caresse. Mais, quand Maigret se pencha, il s’éloigna d’un bond pour miauler deux mètres plus loin.

ー À qui appartient-il ?

ー Je l’ignore… À tout le monde...

(©Georges Simenon : Le Voleur de Maigret; Chap.7) 

 

 猫がズボンに身体をこすりつけてきて、撫でてもらいたそうに彼を見た。しかしメグレが身をかがめると、ニャーと鳴いて2メートルほど飛びのいた。

「誰のかね?」

「知りません。みんなのですよ。」

(#93『メグレの財布を掏った男』第7章)(メグレの泥棒)

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*捜査が大詰めのところに猫が出てくる。メグレの事件簿には猫の描写が出てくることが多い。原作者シムノンには「猫」というタイトルの非メグレ作品もあり、映画化されている。猫好きだったと思われる。

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Le chat venait se frotter < venir(ルシャ・ヴネスフロッテ)猫が身体をこすりに来た(半過去形)

 

à son pantalon(アソン・パンタロン)彼のズボンのところに

 

et le regardait comme pour quêter une caresse < regarder(エルルギャルデ・コム・プーケテ・ユヌカレス)そして撫でてもらいたそうに彼を見ていた(半過去形)

 

Mais, quand Maigret se pencha < se pencher(メ・カンメグレ・スパンシャ)しかしメグレが身をかがめると(単純過去形)

 

il s’éloigna d’un bond pour miauler < s’éloigner(イルセロワニャ・デュヌボン・プーミョレ)猫はニャオと鳴いて

 

deux mètres plus loin(ドゥメートル・プリュロワン)2メートル遠くに

 

À qui appartient-il ? < appartenir(アキ・アパルティアン・ティル)誰のものか?

 

Je l’ignore < ignorer(ジュ・リニョル)私は知らないでいる(知りたいのに知らないのではなく、何となく知らないでいる場合)

 

À tout le monde(アトゥルモンド)みんなのもの