フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)パリで一番の洋菓子屋のミルフイユ

 Mme Maigret, qui avait sa sœur à dîner, téléphona à six heures pour s’assurer que son mari ne serait pas en retard et pour lui demander de passer chez le
pâtissier en rentrant. (---)
 Il n’oublia pas le pâtissier de l’avenue de la République, le seul à Paris, selon Mme Maigret, capable de faire de bons mille-feuilles.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.1er)

 メグレ夫人は夕食に妹が来ることになっていたので、夫が遅くならないことを確かめるために6時に電話をかけて来た。そして帰り道に洋菓子屋に寄ってくれるように頼んだ。 (---)
 彼はレピュブリック通りの洋菓子屋に寄るのを忘れなかった。メグレ夫人によると、パリで唯一の美味しいミルフイユを作れる店だという。
(#55『メグレと殺人者たち』第1章)

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アルザス出身のメグレ夫人には妹が2人くらいいて、ここに出てくるオルガ (Olga) はパリかその近郊に一人で住んでいるらしい。ラヴェンダーの香水が好みのようだ。時々メグレ宅にやってきて夕食を共にする。

**参考サイト《メグレ警視のパリ》「メグレ夫人の妹に関する記述 」(La
sœur de Madame Maigret) の3番目にある短編『メグレ夫人の恋人』(これはメグレ夫人に対するストーカー行為が疑われる謎の人物の事件)でも、パリに住んでいる妹に言及している。

qui avait sa sœur à dîner < avoir(キアヴェ・サスーアディネ)妹が夕食に来ることになっていた(半過去形)

téléphona à six heures pour s’assurer que < téléphoner(テレフォナ・アシズール・プーサシュレ・ク)~を確認するために6時に電話した(単純過去形)

son mari ne serait pas en retard < être(ソンマリ・ヌスレパ・ザンルタール)彼女の夫が遅くならないだろう(条件法)

pour lui demander de passer(プーリュイ・ドゥマンデ・ドゥパッセ) 彼に立ち寄るように頼むために

chez le pâtissier en rentrant < rentrer(シェルパティシエ・アンラントラン)帰り道に洋菓子屋に

Il n’oublia pas le pâtissier < oublier(イルヌブリアパ・ルパティシエ)彼は洋菓子屋を忘れなかった(単純過去形)

*capable de faire de bons mille-feuilles(カパーブル・ドゥフェール・ドゥボン・ミルフイユ)美味しいミルフイユを作れる(不定冠詞 des が形容詞 bons の直前となる場合は de に変わる)

**ミルフイユが一番だとメグレ夫人が認めた店は、現在ならレピュブリック通りとヴォルテール大通りに挟まれた一角にある店(写真例)のようなところだったと思われる。
イメージ 1

Crédit photo : Vue d’une boulangerie-
pâtisserie artisanale “Utopie” 20 rue de
Jean-Pierre Timbaud, Paris 11e
©Google street-view

***参考記事Link : Marie-Claire《マリークレール》5 adresses des meilleurs
mille- feuilles de Paris「パリで最高のミルフイユのお店ベスト5」