フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)風邪でダウンのメグレ

ー Qu’est-ce que tu as?  demanda Mme Maigret. On dirait…

ー Que j’ai un rhume, simplement, et que je vais me coucher avec un grog et deux cachets d’aspirine.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.9) 

 

「どうしたの?」とメグレ夫人がきいた。「まるで・・・」

「ただの風邪だ。グロッグとアスピリン2錠を飲んで寝るよ。」

(#66『メグレと生死不明の男』第9章)

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*メグレは前から風邪気味だったのに、結局前の晩から徹夜で次から次へと目一杯動き回っていたことになる。金曜の夜に夫人と映画に行き、戻るとすぐにホテルに出向き、帰り道にギャングにつけ狙われ、それを捕り逃がした後に、バーの店主から話を聞き出し、メゾン=ラフィットに乗り込んだ。そこで銃撃戦のうえ、ギャングたちを捕まえ、庁内に戻ってから酔払った刑事の家に行き、米国の検察局の人間もパリに来たことを知る。それからその居場所を突き止めて、話を聞き、酒を飲み交わしてから自宅に帰った。・・・小説を読んでいるときは、どんどん先に追い込まれるように読み進んでしまうが、冷静に考えると現実的には時間的に不可能な行動だと思う。だだ、こうしないと読者を堪能させる小説家にはなれないのだ。

一件落着。

 

Qu’est-ce que tu as?  < avoir(ケスク・チュア)どうしたの?

 

demanda Mme Maigret. < demander(ドゥマンダ・マダムメグレ)メグレ夫人がきいた(単純過去形) 

 

*On dirait < dire(オンディレ)まるで~みたいだ(条件法・現在形)

普通 on dirait que ~ の構文だが、夫人が言いかけた後を引き継いでメグレが返事をするので que からあとが続いた。 

 

Que j’ai un rhume, simplement < avoir(ク・ジェアンリュム・サンプルマン)私は単に風邪をひいている(現在形)

 

*et que je vais me coucher < aller, se coucher(エク・ジュヴェ・ムクシェ)それで私は寝ることにする(現在形)代名動詞では主格の人称に必ず合わせて se が変化する

 

avec un grog(アヴェカングロッグ)グロッグ(ラム酒のお湯割り、レモンと砂糖入り) と

 

deux cachets d’aspirine(ドゥカシェ・ダスピリン)アスピリン2錠