フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「夜が明ける」

ー Je marche toujours vite, d’abord parce que j’ai fini par calculer les minutes qu’il me faut, ensuite parce que, l’hiver, quand il fait noir, j’ai peur. Dans un mois, à cette-heure-ci, il commencera à faire jour

(©Georges Simenon : Le Témoignage de l’enfant de chœur; Chap.1er) 

 

「僕はいつも速く歩くんです。どうしてかっていうと、まずどれだけの時間が要るかを計算するようになったからだし、それから冬は暗いのでこわいんです。一カ月もすればこの時間には夜が明けてますよ。」

(#50『聖歌隊の少年の証言』第1章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

*今日から新しい事件が始まる。メグレはフランス北部と思われる地方都市に短期駐在となっている。夜が明けるのが遅い真冬の寒い朝聖歌隊の少年が目撃したという事件について、メグレが少年と真面目に対処する。短編ではあるが、誰もが心当たりのある少年時代に出来事に遭遇した時の心の動揺や寒い季節感覚の記憶が見事に描き出されている。

 

f:id:maigretparis:20210101094554j:plain

Crédit d’image : Le Témoignage de l'enfant de chœur, illustré par Loustal

https://www.loustal.nl/museum581.htm

 

Je marche toujours vite < marcher(ジュマルシュ・トゥジューヴィト)私はいつも速く歩く

 

d’abord parce que j’ai fini par < avoir, finir(ダボー・パースク・ジェフィニ・パー)なぜならまず私が~してしまったから(複合過去形)

 

calculer les minutes qu’il me faut < falloir(カルキュレ・レミニュト・キルムフォ)私に必要な時間を計算する

 

ensuite parce que(アンシュイト・パースク)なぜならそれから

 

l’hiver, quand il fait noir < faire(リヴェー・カンティルフェ・ノワール)冬は暗いので

 

j’ai peur < avoir(ジェプー)私はこわい

 

Dans un mois(ダンザンモワ)一カ月もすれば

 

à cette-heure-ci(アセットゥーシ)この時間には

 

*il commencera à faire jour < commencer(イルコマンスラ・アフェールジュール)夜が明けているだろう(単純未来形)il は非人称

faire jour 夜が明ける

faire noir 暗くなる



**事件の概容についてはこちらへ 

https://maigretparis.web.fc2.com/enquetes/maig50enfcho.html