フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)愛が憎しみに変わるとき

« C’est tout !  Un amour qui se mue en haine !  Un amour-haine ! (---) Elle a décidé de tuer… Elle l’a décidé froidement.  De tuer sans donner prise à la moindre accusation !...

(©Georges Simenon : Un crime en Hollande; Chap.11) 

 

「それで全部だ! 愛が憎しみに変わったんだ! 愛の憎しみさ! (---) 彼女は殺すことを決めた。それを冷静に決めたんだ。少しでも疑われずに殺すんだと!」

(#08『オランダの犯罪』第11章)

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*被害者のポピンガは、女と見れば誰にでも手を出す男だった。メグレは義妹のアニーもその一人だったと推測する。アニーは自分までなら許せるが、さらに可愛いベティにまであけすけに言い寄る姿には耐えられなかった。

 

C’est tout(セトゥ)これがすべてだ

 

*Un amour qui se mue en haine < se muer(アナムー・キスミュ・アンネーヌ)憎しみに変わった愛(現在形)

se muer en ~ v.pr. ~に変わる

**Leur amitié s’est muée en amour. 彼らの友情は恋愛に変わった。

 

Un amour-haine(アナムーエーヌ)愛の憎しみ

 

Elle a décidé de tuer < avoir, décider(エラデシデ・ドゥチュエ)彼女は殺すことを決心した(複合過去形)

 

Elle l’a décidé froidement  < avoir, décider(エルラデシデ・フロワドマン)彼女はそれを冷静に決心した(複合過去形)

 

*De tuer sans donner prise à(ドゥチュエ・サンドネプリーズ・ア)~を思わせずに殺すこと

donner prise à qc.(構文)~にきっかけを与える、~を呼び起こす

 

la moindre accusation(ラモワンドル・アキュザシォン)わずかな責め