ー Vous feriez mieux (---) de monter de temps en temps voir s’il n’a besoin de rien. Il est réellement malade.
ー Il ne l’était pas cette nuit quand j’ai cru qu’il déménageait à la cloche de bois. (---) Il était même assez valide pour transporter sa grosse malle avec l’aide d’un chauffeur de taxi.
(©Georges Simenon : Le revolver de Maigret; Chap.2)
「彼が何か必要かどうか時々様子を見に行ったほうがいいんじゃないかな。本当に病気だよ。」
「ゆうべはそうじゃなかったわ。夜逃げするんじゃないかと思ったのよ。(---) 大きなトランクをタクシーの運転手に手伝ってもらって運ぶくらい元気だったわ。」
(#67『メグレの拳銃』第2章)
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*メグレは帰るときに管理人の所に立ち寄る。ところが男は前の晩にはゴソゴソ動いていたことがわかった。更に、いなくなったという息子がメグレの家に来て、銃を盗んだこともわかった。
Vous feriez mieux de < faire(ヴフリエ・ミュー・ドゥ)あなたは~したほうがいいのではないか(条件法)
de monter de temps en temps voir(ドゥモンテ・ドゥタンザンタン・ヴォワール)時々様子を見に上がる
s’il n’a besoin de rien < avoir(シルナブズワン・ドゥリァン)彼が何も必要ではないかどうか
Il est réellement malade < être(イレレエルマン・マラド)彼は本当に病気だ
*Il ne l’était pas cette nuit < être(イルヌレテパ・セットニュイ)ゆうべ彼はそうではなかった(半過去形)cette nuit は昨晩、 ce soir は今夜のこと。
quand j’ai cru que < avoir, croire(カン・ジェクリュ・ク)私が~だと思ったとき(複合過去形)
*il déménageait à la cloche de bois < déménager(イルデメナジェ・タラクロシュ・ドゥボワ)直訳では「木の鐘で引っ越しした」だが、慣用表現で「夜逃げした」(半過去形)となる。Wiktionnaire の説明では「家賃の支払いを常習的に無視して、家主に知らせることなく転居する」(Déménager sans avertir le propriétaire, habituellement en négligeant de payer le loyer) とある。「木の鐘」は教会用語で「木鐘」(もくしょう)と言い、金属の鐘に代えて週の後半に礼拝で使用されると言う。日曜日の朝に礼拝の鐘が高らかに鳴り渡ることとメリハリをつけるためなのかもしれない。日本の寺にも魚の形をした木製の「梆」(ほう)という音で知らせる道具がある。夜逃げなら普通考えるに「音を立てずに」こっそり出ていくと思うが、それを「音を立ててもあまり伝わらない」木鐘で・・・という言い方が面白い。
Crédit photo : Carnaval de Nice - Déménagement à la Cloche de bois - Char à Musique (ニースのカーニヴァルの山車のテーマ?)
@Carte Postale Ancienne fr
https://www.cartepostale-ancienne.fr/
Il était même assez valide < être(イレテ・メームアッセ・ヴァリド)彼は~するくらい元気だった(半過去形)
pour transporter sa grosse malle(プートランスポルテ・サグロスマル) 彼の大きなトランクを運ぶために
avec l’aide d’un chauffeur de taxi(アヴェク・レド・ダンショファー・ドゥタクシ)タクシーの運転手に手伝ってもらって
**参考サイト:曹洞宗近畿管区教化センター
寺mono解説!お寺の道具: 梆(ほう)※魚鼓=魚の形をした木製の梵音具
https://www.soto-kinki.net/butsuji/teramono07.php