フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

 フランス語の慣用表現「必要なくらいの格好 ⇒ 申し分のない格好」

ー Quel genre ?

ー Un garçon très bien.  Je ne sais pas comment dire.  Pas quelqu’un de riche, mais quelqu’un de comme il faut.  Je suis sûre qu’il avait pleuré.

(©Georges Simenon : Le revolver de Maigret; Chap.1er) 

 

「どんな感じなの?」

「ちゃんとした青年ですよ。どう言ったらいいかしら。お金持ちじゃなくても申し分のない格好でしたよ。彼はきっと泣いていたんだと思うわ。」

(#67『メグレの拳銃』第1章)

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*昼前にメグレの自宅を訪れたのは、身なりのきちんとした青年で、急いだ様子でメグレに会って相談したいことがあると言った。夫人は彼をサロンに案内し、食事の用意をする間待たせていた。(警察官の自宅を相談に訪れることは、まだ個人情報保護法が徹底されていない時代=メグレの時代には頻繁に起きていた。)

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Crédit photo : L’écran sur Youtube

Téléfilm “Le revolver de Maigret” de “Les enquêtes du commissaire Maigret” 

© Antenne 2, 1985; ©INA - Institut National de l'Audiovisuel

 

Quel genre ?(ケルジャンル)どんな類いか?

 

Un garçon très bien(アンギャルソン・トレビァン)ちゃんとした青年です(直訳では「とてもいい少年」だが、青年の場合でも言う) 

 

Je ne sais pas comment dire < savoir(ジュヌセパ・コマンディール)私はどう言っていいかわからない

 

Pas quelqu’un de riche(パ・ケルカンドゥリシュ)金持ちふうの人じゃなく

 

*mais quelqu’un de comme il faut < falloir(メ・ケルカン・ドゥコミルフォ)必要なくらいの人⇒ 申し分ない格好の人

comme il faut(慣用句)しかるべく、申し分なく、問題なく、理想的に

 

*Je suis sûre qu’il avait pleuré < être, avoir, pleurer(ジュシュイシュール・キラヴェプルーレ)彼はきっと泣いていたんだと思うわ(従属節は大過去形)

**être sûr que ~は確かだ、きっと~だ(女性が自分のことを言う場合には、形容詞も女性形 sûre にする)