フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)何でも自分でやりたがる性分

  Comme toujours, il regrettait de ne pouvoir tout faire par lui-même.(---)  Il aurait voulu aussi questionner l’Italien, sa femme, peut-être une petite vieille qu’il n’avait fait qu’apercevoir à la fenêtre éclairée d’un premier étage.

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.1er) 

 

 いつものように 彼は自分で全部やれないことを残念に思っていた。(---) 彼はイタリア人とその妻を、またおそらく、通りの家の二階の灯りのついた窓にちょっと見かけただけの小柄な老女も尋問してみたかった。

(#97『メグレと録音マニア』第1章)

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*ケガ人は病院に搬送されたが、すぐに死亡が確認された。殺人事件である。

参考画像は事件が起きた場所とされるパリ11区ポパンクール街。メグレの住まいから遠くない。

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Crédit photo : Vue de la rue Popincourt, Paris 11e, @Google street-view

 

Comme toujours(コムトゥジュー)いつものように

 

il regrettait de ne pouvoir < regretter(イル・ルグレッテ・ドゥヌプヴォワール) 彼は~ができないことを残念に思っていた(半過去形)

 

tout faire par lui-même(トゥフェール・パーリュイメーム)自分で全部やる

 

Il aurait voulu aussi < avoir, vouloir(イローレヴリュ・オッシ)彼は~もしてみたかった(条件法・過去形)

 

questionner l’Italien, sa femme(ケスチョネ・リタリアン・サファム)イタリア人とその妻を尋問する

 

*peut-être une petite vieille(プテートル・ユヌプィト・ヴィエイユ)多分小柄な老女も (vieille < vieux は形容詞だが、名詞となる場合もある) 

 

*qu’il n’avait fait qu’apercevoir < avoir, faire(キルナヴェフェ・カペルスヴォワール)ちょっとだけしか見えなかった(大過去形)

apercevoir v.t. 見かける、ちらりと見る、見える

 

à la fenêtre éclairée(アラフネートル・エクレレ)灯りのついた窓に 

 

*d’un premier étage(ダンプルミエ・レタージュ)二階の(フランスではエレベーターの表示でも日本の1階を0に、2階を1にしている).